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高齢者虐待防止法の制定を求める意見書(平成16年12月21日)

 高齢化が世界有数のスピードで進む我が国では、最近、介護が必要な高齢者を放置したり、家庭や施設内で高齢者に暴力をふるったりするなど虐待が深刻化している。しかしながら、高齢者への虐待は表面化しづらく、これまで家庭や施設内の問題として見過ごされてきており、児童虐待に比べ法整備などの対策もおくれているのが現状である。

 虐待の背景には、限界を超える介護へのストレスや複雑な家庭内の人間関係なども含まれており、虐待を自覚していない家族も多く、介護家族を含めた精神的なケアが不可欠であるとの指摘もある。

 厚生労働省は、家庭内での高齢者への虐待について初の全国調査を行い、本年4月結果を発表した。それによると、「生命に関わる危険な状態」に至る事例が1割という深刻な実態が浮き彫りになる一方、虐待に気がついた在宅介護支援の専門職の9割が対応は困難と感じていることも明らかになった。

 この結果からも、高齢者虐待の定義を明確にすることを初め、虐待防止と早期保護への具体的な仕組みづくりが急務であることが確認されたところである。

 よって、国におかれては、地域社会全体として高齢者の人権を守る体制を充実させ、虐待防止のための具体的な対策を早急に実現するため、下記の内容を踏まえ、高齢者虐待防止法を制定されるよう強く要望する。

1.相談窓口の設置と、早期発見のための通報システムを確立すること

2.高齢者を虐待者から切り離す緊急保護のための一時保護施設等を整備すること

3.関係機関や家族のネットワークづくりを推進すること

4.施設職員や関係者への虐待防止教育を実施すること

5.高齢者虐待防止に関する国民への教育・啓発を推進すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成16年12月21日

福岡県議会議長  井本 宗司

衆議院議長    河野 洋平 殿
参議院議長    扇 千景 殿
内閣総理大臣  小泉 純一郎 殿
法務大臣     南野 知惠子 殿
厚生労働大臣  尾辻 秀久 殿