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WTO農業交渉に関する意見書(平成15年2月27日)

 我が国の農業・農村は、食料自給率の低下や担い手の高齢化、過疎化の進行などの課題に直面しており、農業者はもとより、関係団体、行政等、一体となって農業の継続的発展と農村の振興に向け懸命の努力を重ねているところである。

 そうした中、WTOでは、本年3月末のモダリティ(約束の基準)決定に向けた農業交渉が山場を迎えている。

 我が国は「多様な農業の共存」を基本に、農業の多面的機能、食料安全保障など貿易以外の関心事項に対する配慮を強く求めているが、大勢を占める農産物輸出国グループは、すべての関税を大幅に削減し、輸入数量を大幅に拡大する提案を行っている。

 このような中、本年2月12日にハービンソン議長がモダリティ1次案を提示したところである。しかしながら、関税削減については、日本が主張していたUR方式を採用してはいるものの、削減の数字が極めて大きく、輸出国の主張に偏重した内容となっている。

 仮に、議長案が採択されると、米の関税率は現行の490%から269%に引き下げられることとなり、国産米とほぼ同じ価格で取引されることとなる。このような状況になれば、日本の農業は壊滅的な打撃を受け、国民への安定的な食料の供給が果たせなくなることは明白であり、到底受け入れることができる内容ではない。

 よって、政府におかれては、残されたWTO農業交渉期間において、受け入れ可能な現実的な内容となるよう、引き続き全力を挙げて交渉に臨むことを強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成15年2月27日

福岡県議会議長  久保 九州雄

内閣総理大臣  小泉 純一郎 殿
外務大臣     川口 順子 殿
農林水産大臣  大島 理森 殿
経済産業大臣  平沼 赳夫 殿