国民の健康、食品の安全性を確保するための体制強化に関する意見書(平成14年7月3日)
我が国においてもBSEが発生し、消費者は大きな衝撃を受けたが、さらに牛肉をはじめとする様々な偽装事件の続発により、消費者は食品の安全や表示に大きな不信と不安を抱いている。
こうした中で現在、政府や国会の場で、食品の安全にかかわる包括的法律(「食品安全基本法」)の制定や新しい行政組織設置の検討が行われているが、今日的な食品安全のシステムを求める立場から、これらが積極的に促進されることが求められる。
なかでも、食品の大半を海外に依存している我が国にとって、輸入農産物からの基準を超える残留農薬等の検出は、安全性確保の体制整備を行わなければならないことを示唆している。一部とはいえ、流通や食品産業のモラルの低さが指摘される中、命を支える「食」の安全性が確保されなければ、孫子の代に禍根を残すことになると懸念せざるを得ない。
よって、本県議会は政府に対し、国民の健康と食品の安全性を確保するため、次の事項を早急に実施されるよう強く要望するものである。
記
1.「国民の健康」や「食品の安全性確保」を目的とした包括的な法律(「食品安全基本法」)の早期制定と、安全確保のため関係国内法を整備すること。
2.生産振興から独立した食品安全行政組織を新設すること。
3.「リスク分析」システムの確立、消費者の参加、情報公開などのリスクコミュニケーションの確立に基づき、現行の食品衛生法の抜本的な改正と運用強化を図ること。
4.食品の表示制度については、消費者の知る権利の観点から、総合的・一元的に見直すこと。
5.農産物を含む輸入食品の全量安全確認検査を早期に実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成14年7月3日
福岡県議会議長 久保 九州雄
内閣総理大臣 小泉 純一郎 殿
厚生労働大臣 坂口 力 殿
農林水産大臣 武部 勤 殿