リバース・モーゲージ(逆住宅・土地ローン)制度の確立を求める意見書(平成13年3月27日)
近年、ひとり暮らし老人や老人夫婦世帯が増加していることもあって、それらの高齢者が住んでいる住宅、土地等の資産を担保にして、高齢者の生活費や介護費等を金融機関や自治体から融資を受け、死亡後、担保となった住宅、土地等を売却して清算するというリバース・モーゲージ(逆住宅・土地ローン)制度が近年注目を浴びている。
この制度は、年金以外収入がなく、十分な生活費や医療・介護費等が得られず困窮している高齢者世帯や、現在以上の生活向上を望む高齢者世帯にとっては必要な制度といえる。高齢者が安心して老後生活を送るための費用を得る手段の一つとして、我が国においてもさらに普及すべき制度である。
我が国においては、既にこうした考えに立ったリバース・モーゲージ制度が武蔵野市を初めとして、現在まで17自治体において金融機関と連携して実施されており、老後生活の安定と向上に一定の役割を果たしている。
しかしながら、リバース・モーゲージ制度は、住宅、土地等の資産価値の劣化に伴う担保割れ、金利上昇及び長生きの三つのリスクが伴うことから、制度の普及が進んでいない現状にある。
一方、米国においては、1988年に連邦住宅庁による公的保険制度が、1989年には住宅都市開発省による「住宅資産転換モーゲージ(HECM)制度」が確立され、融資機関や利用者のリスクをカバーする制度が整備され、多くの高齢者に対する融資実績を積んでいる。またフランスにおいても、長命による担保割れ等のリスクを保障する保険制度が確立されている。
我が国においても、米国等の仕組み等を学びつつ、リスクを回避するための制度を創設し、高齢者が利用しやすい「リバース・モーゲージ制度」を早急に確立すべきである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成13年3月27日
福岡県議会議長 藤田 茂令
内閣総理大臣 森 喜朗 殿
厚生労働大臣 坂口 力 殿
国土交通大臣 扇 千景 殿