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視覚障害者などの読書権保障に関する意見書(平成12年12月20日)

 高齢化が著しく進行する我が国において、障害者や高齢者が著作物を享受する機会などを十分に確保することは、緊急の課題である。
 とりわけ、点字習得の難しい中途失明者を初めとする視覚障害者などが、容易に読書を楽しむことができるよう、著作物の音訳サービスなどを充実することが必要である。
 よって、国におかれては、次の事項を実現されるよう、強く要望する。
一、著作権法第37条の改正について
(1)公共図書館が録音図書の作成を行うに当たっては、個々の著作権者に許諾を得るため、現在は多大な労力と時間が払われている。障害者福祉のために非営利で行う音訳であれば、点字図書館と同様、著作権者の許諾なしに行えるようにすること。
(2)点字で入学試験を行う大学が増加したことによって、数多くの視覚障害者が大学に進学している。また、盲学校でなく普通校に通う視覚障害の生徒もふえている。学校図書館での教材や図書の音訳を可能にするため、著作権法第37条第3項に規定する「政令で定める」施設において、「視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設」に限らず、教育施設も対象にすること。
(3)音訳サービスは、肢体不自由者や高齢者などページをめくることが困難な方からの要望も多い。著作権法第37条第3項の規定に基づき、著作権者の許諾を得ずに作成された録音図書の貸し出しは、「専ら視覚障害者向けの貸し出しの用に供するため」に限らず、視覚障害者以外の障害者や高齢者も対象にすること。
一、著作権者があらかじめ、著作権を一部開放して録音図書や拡大写本等の製作を許可したことを明らかにするマークである「EYEマーク」表記の定着や普及に向け、国として積極的に取り組むこと。
一、公共図書館における障害者サービスについて、障害当事者の立場から、その内容を点検、吟味し、より充実したものにし、かつ視覚障害者の職場を広げるために、国立国会図書館において視覚障害者を採用するとともに、公共図書館において数多くの視覚障害者が採用されるよう、国として積極的に支援すること。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成12年12月20日

福岡県議会議長  藤田 茂令

衆議院議長   綿貫 民輔 殿
参議院議長   井上 裕 殿
内閣総理大臣  森 喜朗 殿
文部大臣     町村 信孝 殿
法務大臣     高村 正彦 殿