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青少年の健全育成に関する意見書(平成12年7月6日)

 全国各地で今、毎日のように起きている社会を震撼させるような凶悪な青少年犯罪は、多くの国民に我が国の将来を憂えさせ、21世紀の到来を目前にした今日、焦燥感を覚えさせている。高度経済成長に伴った「人」より「モノ」の風潮は、テレビや雑誌などメディアの低俗化がこれに輪をかけ、人心を荒廃させてきた。
 首相の私的諮問機関の「21世紀日本の構想懇談会」でも、家族のきずな、教育の質、中でも小中学校の学習作法、そして治安のよさという日本人が誇りとしてきた社会の根幹が崩れ始めていると指摘するなど、これまでにも青少年犯罪の多発と凶悪化については多くの分野でさまざまの論議がなされてきた。
 それだけに、今最も必要なことは、教育を中心に政治、経済、文化を含めた社会全体の取り組みであり、何か一つでもいいからやれることから直ちにやっていくという実践志向であろう。
 よって、本県議会は政府に対し、青少年の健全育成のため、当面、緊急に必要な措置として、下記事項についての特段の配慮を求め、実現を期するものである。


 
1.学校における実践活動の推進について全国の学校や地域において、子どもたちに優しく、強い心をはぐくみ、家族愛、地域愛を育て、また忍耐力を育てるような実践活動、例えば本県において全県下で展開を検討している「読書運動」、あるいは「竹馬づくり運動」「マラソン運動」などが実践されるよう国も指導すること。
2.地域青少年指導員及び相談員の体制整備について現在、文部大臣認定の地域スポーツ指導員制度が確立されているが、生活文化関係についてはそうした制度がない。生活文化面においても、こうした制度を確立して育成を図り、青少年健全育成を手がけるべきである。
 また、青少年を対象とした悩み事については、多くの地域で退職教職員が非常勤職員として、その相談に当たっているのが実情である。このため、現在、学会等民間団体の認定にとどまり、かつ全国的に数が少ない「臨床心理士」「心理士」について養成を図り、国家的資格とした上で、都道府県や市町村の職員として採用し、青少年の相談体制を確立すべきである。
3.青少年の健全育成を強力に推進するため、テレビ、マスコミ等の影響を最小限にとどめ、家庭、学校、地域が一体となった国民運動として展開し、その活性化を図ること。
4.「内閣府」における青少年問題担当の充実今回の省庁再編により、男女共同参画室が内閣府において局に昇格すると聞いているが、今日の青少年健全育成の重要性をかんがみたとき、青少年問題担当部門についても、内閣内で充実させるべきである。
 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成12年7月6日

福岡県議会議長  藤田 茂令

内閣総理大臣 森 喜朗  殿
法務大臣    保岡 興治  殿
文部大臣    大島 理森  殿
自治大臣    西田 司  殿
総務庁長官   続 訓弘  殿