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保護司の人材確保に関する支援の充実を求める意見書

 国は、「再犯の防止等の推進に関する法律」の下で、平成29年に「再犯防止推進計画」を策定したところであり、本県においても、平成31年に「福岡県再犯防止推進計画」を策定し、再犯防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進しているところである。
 犯罪や非行をした人が、孤立することなく、再び社会を構成する一員として円滑に社会に復帰できるよう支援し、誰もが安全で安心して暮らせる社会を実現するためには、国や県、市町村はもとより、民間の団体や多くの関係者が連携して取組を進めていくことが不可欠であり、その中心的存在である保護司が果たす役割の重要性は、ますます高まっている。
 保護司の使命は、保護司法に基づき、社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、社会生活上の助言や指導、帰住先や就職先の確保、地域社会の理解の促進及び犯罪や非行の未然防止など多岐にわたるものである。
 更生保護に対する国民の関心と期待が高まる中で、保護司の高齢化に加え薬物やアルコール依存、高齢、精神疾患、発達障がいなど保護観察対象者の抱える問題が複雑・多様化しているほか、家族関係や地域のつながりの希薄化が進み、厳しい社会経済情勢などを背景に自立困難な対象者が増加するなど、保護司の処遇活動は困難化しており、保護司にふさわしい人材の確保が難しくなっている現状がある。
 我が国の保護観察制度は、常勤の国家公務員である保護観察官と民間ボランティアである保護司の協働態勢によって実施されているが、保護観察等の実際の業務の多くの部分は保護司によって担われており、再犯防止の推進のためには、保護司の安定的確保に向けた国の支援の更なる充実強化が不可欠である。
 よって、国におかれては、保護司の人材確保のため、次の事項について早急に実施されるよう強く要望する。
1 保護司制度維持の責任は国にあることを制度的・体系的に明確にするとともに、保護司が担う更生保護活動の意義や重要性の更なる啓発に努めること
2 保護観察所に人材確保の専門部署を設置するなど、実施のための体制を整備すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和3年3月24日

福岡県議会議長 吉松 源昭  

衆議院議長  大島理森 殿
参議院議長  山東昭子 殿
内閣総理大臣 菅 義偉 殿
財務大臣   麻生太郎 殿
法務大臣   上川陽子 殿
内閣官房長官 加藤勝信 殿