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アスベスト問題の早期解決を求める意見書

 我が国では、耐熱・耐火性が高く、安価なアスベスト(石綿)が、長年建材として使用されてきた。その結果、工事現場等で働く建設労働者や近隣住民は、飛散したアスベストを吸い込んだことによって、長い期間を経て、肺がんや中皮腫などの重い病気を発症するなど、健康被害が多発した。
 これらの問題に対して、被害者によって、国やメーカーを相手取り、全国で訴訟が行われ、昨年12月、最高裁判所は国の上告を退ける決定をし、国にアスベストによる健康被害に対する損害賠償責任があるとした判断が全国の集団訴訟で初めて確定した。田村憲久厚生労働大臣は、原告団と会談し謝罪するとともに、今後、国も被害者の救済の在り方を検討するため協議の場を設けると表明されている。
 また国内では、2006年9月以降、アスベストの使用が原則禁止となったものの、それ以前に使用されたアスベスト含有建築物の解体等の工事によって、粉じんが飛散することが問題視されている。
 そのため、2020年6月、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が公布され、建築物等の解体等工事におけるアスベストの飛散を防止するための対策強化、都道府県等への事前調査結果報告の義務付け等が新たに規定された。
 アスベストを原因とする肺がん、中皮腫等を発病すると、短期間で重篤化すると言われており、多くの被害者が十分な補償を受けられないまま死亡している。一刻も早い被害者救済に向けた対策の強化が求められている。
 よって、国におかれては、次の事項について、必要な措置を講じるよう強く求める。
1 国及び建材メーカーによる補償基金制度を創設するなど、被害者の救済に向けた施策の推進を図ること
2 2020年に改正された大気汚染防止法等に基づき、建築物等の解体等工事や石綿含有建材処理時のアスベスト飛散・暴露対策等の徹底に向けた取組を強化すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和3年3月24日

福岡県議会議長 吉松 源昭  

衆議院議長  大島理森 殿
参議院議長  山東昭子 殿
内閣総理大臣 菅 義偉 殿
財務大臣   麻生太郎 殿
厚生労働大臣 田村憲久 殿
国土交通大臣 赤羽一嘉 殿