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平成30年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成30年2月26日)

 議案の説明に入ります前に、発言をお許しいただきたいと思います。
 吉原太郎議員が1月20日にご逝去されました。吉原議員には、第52代県議会議長をはじめ、30年有余にわたり、県政の発展を力強く支えていただきました。これまでのご功績に敬意を表し、深く感謝を申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 本日ここに、第15回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成30年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第です。

 世界情勢を見ますと、世界的に保護主義が台頭する中で、米国を除いた11か国による環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意に達し、日EU経済連携協定(EPA)も交渉妥結に至りました。自由で公正な貿易の進展とともに、我が国経済に及ぼす影響に注視し、本県の産業を継続して支援してまいります。
 東アジアでは、中国との日中平和友好条約締結四十周年を迎え、韓国・平昌では、平和の祭典、冬季オリンピック大会に続き、間もなくパラリンピック大会が開幕します。本県としては、近隣諸国との協力関係の強化のために、地域レベルの交流をさらに促進してまいります。
 先日、本県へのタイ王国総領事館の設置が決まりました。これまでの県議会のご協力、ご尽力に対し、感謝し、お礼申し上げます。これを契機に、タイはもとより、アセアン諸国とのさらなる交流の拡大を図り、その活力を取り込んで、ともに発展していきたいと考えております。
 北朝鮮は、近年、過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し、昨年9月には、6回目の核実験を行いました。こうした行為は、我が国を含む地域と国際社会の平和と安全を損なう安全保障上の重大な挑発行為であり、誠に遺憾です。引き続き、高い緊張感を持って情勢を注視し、国や市町村、自衛隊、警察、消防などの関係機関と密接に連携し、県民の皆様の生命、身体、財産を守ってまいります。

 国内では、5年にわたるアベノミクスの推進により、平成29年の名目GDPは546兆円と過去最高を更新し、実質成長率は8四半期連続のプラス成長となっています。平成29年12月の全国の有効求人倍率は1.59倍と1970年代前半以来の高水準となり、賃金についても、中小企業を含め、2%程度の高い賃上げが4年連続で実現するなど、雇用・所得環境は改善し、経済の好循環が実現しつつあります。

 その中で、本県経済は、生産、輸出、消費などの指標が全国を上回るなど、景気は緩やかに拡大しつつあります。雇用も、有効求人倍率は県全体で過去最高の1.62倍を記録し、3か月連続で全国値を超えています。また、直近の調査では、この1年間で就業者は4万3千人増加し、本県は着実に元気になっています。
 一方、東京圏への転出超過が全国で続いており、東京一極集中の傾向に歯止めがかかっていません。本県は、人口増加の状態を維持しているものの、近い将来、人口減少に転ずることが予測されており、それぞれの地域をいかに元気にするか、地方創生が極めて重要な課題となっています。
 また、昨年7月、九州北部豪雨災害に見舞われ、朝倉市、東峰村を中心に甚大な被害が発生しました。一日も早く、被災地の皆様が元の生活に戻っていただけるようにしていかなければなりません。

 これまで、私は、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して、全力を傾けてまいりました。
 県政の運営に当たっては、県内各地に赴き、関係者の方々と意見交換することを心掛けるとともに、県民意識調査の結果や県議会での議論、福岡県総合計画の数値目標の達成状況等を踏まえ、政策の企画立案、制度の見直し・改善に努めてまいりました。
 毎年実施している「県民意識調査」では、昨年、「福岡県に生まれてよかった、生活してよかった」と感じている人が一昨年よりも更に増え、2年連続8割を超えました。
 これからも、生活者の視点を重視しながら、課題や問題を抱える県民の皆様に寄り添う、温かみのある行政により一層力を入れ、もっともっと元気な福岡県を目指してまいります。そして、九州、日本をここ福岡県から元気にし、福岡県を「日本海側の、かつ、アジアを向いた一大拠点」として成長させ、わが国のバランスのとれた発展に貢献してまいります。

 以上のことから、平成30年度は、一日も早く被災地の復旧・復興を成し遂げるとともに、「誰もが住み慣れたところで働き、安心して子どもを産み育て、長く元気に暮らしていくことができる」、そうした地域社会をそれぞれの地域につくっていく地方創生の実現に向けた取組みを加速していきます。
 まず何より、地域で働くことができ、また、大都市圏からも安心して戻ってくることができるよう、それぞれの地域に一つでも多く、魅力ある雇用を創出します。
 また、資源に乏しい我が国にとって、人こそが最も重要な資源です。出会い、結婚、出産、育児、就職・仕事など、若い世代の希望をかなえ、また、地域の未来を担う子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなくそれぞれの夢をかなえることができるよう、施策を総動員します。
 安全・安心で、誰もが生きがいを持ち、長く元気に暮らしていけることは県民生活の基本です。今回の豪雨災害の経験、教訓を踏まえ、地域防災力の向上に取り組むなど、安全・安心、災害に強い福岡県にしていきます。女性、高齢者、障がいのある人など、誰もがそれぞれの個性を充分に発揮し、元気に、いきいきと活躍できる地域社会を実現します。

 ここで、平成30年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 平成30年度当初予算においては、九州北部豪雨災害からの復旧・復興と地方創生の実現に向け、「地域経済の活性化と魅力ある雇用の創出」、「若い世代の夢と希望をかなえる社会」、「安全・安心、災害に強い福岡県」、「誰もが活躍できる社会」の四つの柱に基づき、施策を展開してまいります。
 また、財政の健全化を着実に推進するため、「財政改革プラン2017」に沿ったメリハリの効いた予算編成を行いました。

 平成30年度当初予算の規模は、
 一般会計で1兆7325億4800万円余、
 特別会計の総額で9854億2700万円余、
 企業会計の総額で98億7900万円余
 であります。
 一般会計の予算規模は、前年度当初予算比で0.7%の増となっております。

 歳出予算については、社会保障費が子ども・子育て支援の充実等により、22億円の増となっております。
 また、公共事業費及び災害復旧費については、豪雨災害復旧・復興対策をはじめとして、それぞれ68億円、210億円の増となりました。

 歳入予算については、県税等が、政令市への税源移譲により個人県民税が減となったものの、法人二税や地方消費税が堅調であることから16億円の増となっております。
 一方、県債については、臨時財政対策債は減となったものの、豪雨災害復旧・復興対策による通常債の発行増に伴い、41億円の増となりました。

 歳出予算の主要施策について、ご説明申し上げます。
 第一は、「地域経済の活性化と魅力ある雇用の創出」であります。
 「グリーンアジア国際戦略総合特区」については、これまで、62社が特区を活用し、約1760億円の設備投資が行われ、約1220人の新たな雇用が生まれました。中小企業の参入も着実に増えており、特区活用企業の約4割を占めています。
 県内雇用の8割を担い、県経済の発展と活力の原動力である中小企業について、成長段階や事業環境に応じてきめ細かに支援し、多様で活力のある成長発展を図ります。
 引き続き、中小企業振興資金の融資枠を十分に確保するとともに、商工会議所、商工会等が行うプレミアム付き地域商品券の発行を支援します。また、中小企業の円滑な事業承継を促進するため、県や中小企業支援機関、金融機関等で構成する新たな支援体制を構築するとともに、事業承継を支援するための融資枠を新たに設けます。
 北部九州は、159万台の生産能力を有し、開発・設計から生産まで一貫して担うことができる拠点として成長しました。世界のマザー工場としての役割も果たし、今や、世界有数の自動車生産拠点となっています。
 この自動車産業のさらなる発展に向け、自動車電動化部品研究会や中京地区におけるカーエレクトロニクス展示商談会を開催します。
 このほか、将来の成長が見込まれるバイオ、水素エネルギー、IoT、航空機といった先端成長産業の育成にも努めてまいります。機能性表示食品や健康食品の開発に取り組む企業の販路開拓を支援するため、食品販売業者との商談会を開催するとともに、水素・燃料電池分野への中小企業の参入を促進するため、家庭用燃料電池(エネファーム)メーカーとのマッチング、製品実用化への支援に取り組みます。また、県内IT企業を対象とした顧客ニーズ把握のための現場見学会やビジネスマッチングイベントを開催することによって、IoTを活用した製品開発を支援するとともに、中小企業の航空機産業参入を促進するため、企業間連携の取組みや専門家による技術研究会の開催を支援します。

 農林水産業では、本格販売開始から15周年を迎えた「あまおう」が、昨年度、販売単価13年連続日本一を達成し、また、県産農林水産物の輸出額は30億円を超え過去最高となりました。私たちの生活と食を支えるこの重要な産業をしっかり守っていくと同時に、「攻め」の産業を目指し、「ブランド化」、「輸出促進」、「六次産業化」を推進してまいります。また、意欲ある担い手の育成・確保にも努めてまいります。
 県産農林水産物の販売・消費拡大のため、「福岡の食」を使用したメニューを提供するアンテナレストランを東京に設置し、「福岡の食」に関する情報発信を強化してまいります。また、県産酒を一堂に集めたイベントや「ふくおかの地魚応援の店」における旬の魚を使用した料理フェアを開催します。
 八女茶の高級ブランド化を図るため、移動茶室を活用し、首都圏で八女抹茶を提供するとともに、統一ロゴマークの作成などを行います。
 輸出促進については、香港、タイにおいて県産食材試食会や福岡キャンペーンを行うとともに、イギリス、フランス、ドイツの茶専門店に八女茶の常設コーナーを設置しPRします。
 水田農業や畜産業の競争力強化策として、法人経営に米を取り入れ、麦・大豆との経営一元化を進める取組みや県産米の海外での需要開拓を支援するとともに、「博多和牛」の肉質向上を図るため、繁殖雌牛の人工授精に対する助成を行います。
 担い手の育成・確保対策では、経営を譲りたい農家が持つ資産、販路、技術を新規参入者に継承する仕組みを構築するとともに、農業法人ののれん分け等による従業員の独立就農を支援します。
 林業について、原木生産者と合板工場等が直接取引できるようコーディネート活動を支援するとともに、廃棄された消火器から回収される消火薬剤を使った低コストの防火性木材の製造技術を他に先駆けて開発します。
 水産業については、本県における重要魚種であるアサリ、アワビ、アカモク、アユの資源の増大に取り組みます。

 観光の分野において、福岡県は、九州の玄関口として大きな役割を果たしています。昨年、本県に約320万人の外国人が入国し、339隻の外国籍のクルーズ船が入港するなど、いずれも過去最高を記録しました。一層の誘客に努めるとともに、受入環境をさらに充実させ、インバウンド観光客をもっと増やしていきます。
 本県にタイ王国総領事館が設置されることから、経済分野をはじめ、県と同国との交流をさらに促進するため、開設記念レセプションと交流イベントを開催します。
 昨年7月、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。この価値を広く発信するとともに、資産にふさわしい形で保存活用を進め、地域活性化につなげていきます。具体的には、遺産群全体の価値や魅力を体感できる新たな映像コンテンツの制作、奈良県と連携した古代をテーマにしたプロモーションの実施、交通事業者や旅行会社と連携した旅行商品の造成支援を行います。
 今年は、「明治150年」にあたることから、「明治日本の産業革命遺産」への来訪を促進するため、県内構成資産の周遊ラリーや関連資料の巡回展を行います。また、国指定重要文化財である門司港駅を創建当時の姿に復原するとともに、近代建造物に関する資料の展示、解説を行うことにより、その保存活用を図ります。
 今年11月、伝統的工芸品に対する国民の理解と一層の普及を図ることを目的とする「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」が30年ぶりに本県で開催されます。この機会を通じて、本県伝統工芸品の魅力をPRし、県内各産地においても、記念式典や特別企画展を実施します。
 本県の魅力ある文化を発信するため、食や伝統芸能などをテーマとした外国人向けの文化体験プログラムを実施するとともに、障がいの有無に関わらず誰もが楽しめる芸術祭を開催します。

 将来の発展基盤の充実も重要です。福岡空港の滑走路増設及び平行誘導路二重化を着実に推進するとともに、北九州空港については、旅客路線の誘致、貨物取扱量の増加など、一層の利用促進を図ってまいります。

 第二は、「若い世代の夢と希望をかなえる社会」であります。
 これまでの取組みにより「出会い応援団体」は650団体、「子育て応援宣言企業」は6200社を超えました。こうした取組みを引き続き実施するとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現を図り、出会い、結婚、出産、育児、就職・仕事など、若者のライフステージに応じたきめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じていきます。
 まず、待機児童の早期解消に向け、保育所や認定こども園を整備してまいります。また、キャリアアップ研修を新たに実施するとともに、研修に参加する保育士の代替職員の雇用費用を助成するなど、保育士の処遇改善を図り、保育の担い手確保に努めてまいります。

 次に、「社会の宝」である子どもたちが国際的な視野を持ち、地域で活躍する「人財」に育つよう、「ふくおか未来人財育成ビジョン」のもと、学力、体力、コミュニケーション能力の向上を図るとともに、グローバル化の進展に対応する施策を展開してまいります。
 小学校における英語教育の教科化に向け、高い英語指導力を持つ教員を育成し、配置します。また、中学3年生に対する英語能力測定テストや英語スピーチコンテストを実施するとともに、低所得世帯の高校生に対し、英検等外部検定試験の受験費用を助成します。
 特別支援学校においては、企業と連携して本県独自の技能検定を開発し、生徒に就労に必要な知識・技能を習得させ、卒業後の自立と社会参加につなげてまいります。
 高校中退後、必要な支援を受けていない若者などに対し、相談員が家庭に出向いて相談を受け、適切な支援機関につなぐ「若者自立相談窓口(仮称)」を新たに設置します。
 就職・仕事の支援策として、就職氷河期世代である40代前半の無業者に対し、新たに若者サポートステーションにおいて個別相談などの支援を実施します。
 企業の働き方改革について、「FUKUOKA・よかばい・かえるばいキャンペーン」を実施し、働き方改革に取り組む企業の拡大を図ります。
 がんの治療や介護と仕事の両立を支援するため、両立支援制度の導入を検討する事業所にアドバイザーを派遣するとともに、就業規則の見直しに係る経費を助成します。

 また、「子どもの貧困対策推進計画」に基づき、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長していけるよう、全庁挙げて、地域を巻き込みながら、貧困の連鎖を断ち切る対策に取り組んでいきます。
 住居を失い又は失うおそれのある子育て世帯に対し、一時的に住居を提供するとともに、就労に向けた準備が整っていない方に、就職活動に必要な基礎的能力を身につけるための支援を行います。
 ひとり親世帯の所得向上対策として、多子世帯の親が就職に有利な専門資格を取得できるよう、養成機関で修学する間に必要となる生活費を助成します。
 児童生徒を取り巻く生活環境の改善を図るため、全中学校区におけるスクールソーシャルワーカーの配置に向け、市町村に対する助成を行うとともに、生徒指導相談員をはじめ不登校などに対応する専門スタッフを増員します。

 第三は、「安全・安心、災害に強い福岡県」であります。
 一昨年の熊本地震、昨年の九州北部豪雨を教訓とした地域防災計画の見直しや災害時における支援・受援体制の整備を進めるとともに、近年頻発する自然災害を踏まえた緊急輸送道路、河川、砂防施設の整備など、災害に強い福岡県の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 まず、九州北部豪雨の被災地の早期復興と一日も早い被災者の生活再建を図るため、住宅再建資金を新たに借り入れた際の利子相当額を助成します。また、自力再建が困難な被災者の住まいを確保するため、県が朝倉市、東峰村から受託し、災害公営住宅の整備を進めます。
 災害時に孤立するおそれがある地域の通信手段を確保するため、衛星携帯電話等を導入する市町村に対する助成を行います。
 消防団員の加入を促進するため、大学や短大における消防防災サークルの立ち上げを支援するとともに、消防団活動に協力する事業所を表彰する制度を新設します。

 また、治安の確保にも全力を挙げます。
 暴力団対策について、引き続き、暴力団に対する徹底した取締りを行うとともに、暴力団員の離脱・就労の促進に取り組みます。
 飲酒運転対策について、行政処分に合わせた適正飲酒の指導を行うとともに、次世代の交通社会を担う高校生等に対し、バーチャルリアリティ技術を活用した交通安全教育を実施します。
 性犯罪対策として、スマートフォン用防犯アプリ「みまもっち」の機能を拡充し、被害者層である若年女性の登録を増加させ、自主防犯力の向上を図ります。
 ニセ電話詐欺に対し、高齢者など被害に遭いやすい方への啓発を強化することとし、コールセンターから電話による注意喚起を行います。

 さらに、地域公共交通の確保や産業廃棄物の監視強化など、暮らしの安全・安心の確保にも努めてまいります。
 地域における生活交通の維持・確保を図るため、市町村に対し、コミュニティバスの新規路線開設に係る補助率の優遇、デマンド交通等の導入に対する助成を行います。
 産業廃棄物処理施設等に対する監視指導を高度化するため、赤外線カメラを搭載したドローンを活用することにより、立入検査を効率化・強化し、不適正処理の早期発見・早期是正、火災事故の未然防止を図ってまいります。
 空き家対策について、民間事業者と連携して、県全域の空き家情報を提供する新たなインターネット検索システムを構築し、利用可能な空き家を円滑に市場へ流通させ、既存住宅市場の活性化を促進するとともに、老朽空き家の発生を抑制します。
 フードバンク活動をさらに促進し、食品ロスの削減を図るため、企業がフードバンク団体に安心して食品を提供できるよう、両者間で生活困窮者等に渡るまでのプロセス、賞味期限等に関する情報を共有するシステムを構築します。

 第四は、「誰もが活躍できる社会」であります。
 この社会が活力にあふれ、持続的に成長、発展していくためには、女性の感性や発想、高齢者の知識と経験を最大限に活かしていくことが大事です。女性が活躍できる環境の整備を進めるとともに、「70歳現役社会づくり」を九州・山口、さらには全国へ広げてまいります。
 このため、女性の活躍を推進する取組みを行う企業に対し、専門家を派遣し、採用や人材育成など各企業の課題に応じた個別支援を行うとともに、優良事例やノウハウを広く発信いたします。
 高齢者の活躍について、「70歳現役応援センター」における就業・社会参加に対する支援や求人開拓を引き続き実施するとともに、新たに、社会保険労務士を活用して、70歳まで働ける制度の導入を企業に対し働きかけてまいります。

 また、障がいのある人の社会参加を促進し、障がいのある人もない人も住み慣れた地域で安心して暮らせる共生社会の実現を目指します。
 まず、障がい者福祉の向上を図るため、福岡、北九州両地域に今年度設置した「発達障がい者支援センター」に、関係機関による支援体制を構築する地域支援マネージャーを配置します。
 また、発達障がい児者への専門的療育支援を強化するため、医学的見地に基づく支援を実施する療育支援事業所を県内2か所指定します。

 本県は、2025年には、3人に1人が高齢者になると予想されています。高齢者が住み慣れた地域で、安心して生活できるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを一体的に切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を引き続き市町村と連携して進めてまいります。また、昨年度策定した「地域医療構想」に基づき、急性期から回復期、慢性期、在宅医療まで、県民の皆様が適切な医療サービスを受けられる体制の整備を図ってまいります。
 その一環として、医療機関に対し、療養病床から介護施設等への転換に要する経費を助成します。
 平成30年度から始まる国民健康保険制度改革においては、県が国保運営に中心的な役割を担うことになるため、市町村国保の医療費の適正化及び事業運営の強化に取り組み、持続可能な制度運営を図ります。
 地域における在宅医療と介護の連携を強化するため、市町村と郡市区医師会が緊密に連携したサービス提供体制を構築できるよう支援していくこととし、在宅医療・介護従事者に対する研修の実施やアドバイザーによる助言などを行います。
 生涯を通して健康で過ごせる社会の実現を目指し、県民の自主的な健康づくりを進めていくため、企業、経営者団体、マスコミ、地域団体等様々な団体が参加する県民会議を新たに設置し、「健康づくり県民運動」を展開します。

 これらの四つの柱に基づく取組みを進める中で、特に、スポーツを振興し、福岡県をさらに元気にする「スポーツ立県」を目指してまいります。
 スポーツは、体力の向上、健康の維持増進、生きがいなど人々を元気にする力を持っています。とりわけ、子どもたちに夢や希望を与えてくれるものです。ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が目前に迫る中、キャンプ地の誘致も進んでおり、観光の振興、地域の活性化、国際交流の推進などにもつなげていくことが求められています。
 このため、大規模国際スポーツ大会を契機とした地域の活性化、ジュニアアスリートの育成など競技スポーツの強化、健常者も障がいのある人も誰もがスポーツに親しむことができる環境の整備に取り組んでまいります。
 まず、福岡県で試合が開催されるラグビーワールドカップへの誘客、試合観戦者の周遊観光への誘導を図ることとし、フランス、香港、豪州において同じく開催県である熊本県、大分県と合同PRを行うなど、福岡県と九州の魅力を発信してまいります。
 ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックに係るキャンプ地の誘致に取り組むとともに、基本合意を締結した国・地域の選手等とのスポーツ交流を実施する市町村に対し新たに助成を行います。
 障がいのある人がスポーツを気軽に楽しむことができるよう、特別支援学校を活用して障がい者スポーツ活動の拠点を整備します。
 トップアスリートや障がい者アスリートへの支援については、中学・高校生年代にあたるジュニアアスリートや国内外の大会で活躍している障がい者アスリートに対し、指導者の養成や海外遠征等に要する経費を助成します。
 以上が、平成30年度当初予算の概要であります。

 次に、平成29年度の補正予算について、ご説明申し上げます。

 今回の補正予算は、国の補正予算を最大限活用し、早期執行が求められる豪雨災害復旧・復興対策、防災減災対策、農林水産業の競争力強化等に要する経費について措置しております。

 補正予算の額は、一般会計で268億300万円余であります。これにより、一般会計の総額は、1兆8558億1900万円余となります。
 歳入予算については、国庫支出金、県債等を計上しております。

 補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、国が代行して行う赤谷川などの災害復旧工事の負担金を計上するとともに、道路、河川、ため池の整備等の防災減災対策を加速する経費を追加しております。
 併せて、農林水産業の競争力強化に向けた生産流通施設の整備、子育て支援及び福祉の充実のための認定こども園や障がい者支援施設の整備に対する助成費を追加しております。
 このほか、工業技術センターインテリア研究所や農林業総合試験場の機能強化に要する経費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました平成30年度予算議案20件及び平成29年度補正予算議案1件のほか、条例議案31件、契約の締結に関する議案7件、経費負担に関する議案6件、その他の議案4件、人事に関する議案2件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第一は、「筑紫郡那珂川町が那珂川市となることに伴う関係条例の整理に関する条例」の制定であります。その内容は、今年10月1日から筑紫郡那珂川町が那珂川市となることに伴い、関係条例の規定を整理するものであります。

 第二は、「福岡県職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、職員に対する懲戒処分について、非違行為の内容等に応じ厳正に対処するため、減給期間、減給額及び停職期間を改めるものであります。

 そのほか、県立学校及び市町村立学校職員の定数を改める条例、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例18件などであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成30年3月6日)

 本日、追加提案いたしました議案は、25件であります。その内訳は、平成29年度補正予算関係議案12件、条例議案2件、経費負担に関する議案11件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、平成29年度の最終補正予算として、年度内に措置する必要がある経費を補正するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で295億4000万円余、特別会計で5億5500万円余をそれぞれ減額しております。また、企業会計では、工業用地造成事業会計において増額を行っております。
 その結果、平成29年度予算の総額は、一般会計で1兆8262億7900万円余、特別会計で5835億3000万円余となっております。

 一般会計の歳入につきましては、県税、地方譲与税のほか、歳出予算に対応した国庫支出金等の補正を行っております。
 歳出につきましては、保育給付費をはじめとする社会保障費などを増額するほか、年度内の所要額がほぼ確定した災害復旧費や経費の節減を行った事業費等を減額しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 条例議案は、福岡県国民健康保険特別会計に財源不足が生じた場合の基金の処分に関する規定等を設ける「福岡県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例」及び基金に基づく事業の終了に伴い「福岡県森林整備加速化・林業再生基金」を廃止する条例であります。

 経費負担に関する議案は、漁港関係事業及び海の中道海浜公園事業について市の負担すべき金額を定めるもの並びに空港整備事業ほか八件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。