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平成28年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成28年2月22日)

 本日ここに、第5回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 議案の説明に入ります前に、発言をお許しいただきたいと思います。
 まず、このたびの台湾南部での地震により、深刻な被害が発生しました。亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。一日も早い復興を切に願っております。

 また、県土整備事務所の職員が逮捕され、収賄の罪で起訴されましたことは、県行政の信用を著しく失墜させるもので、誠に遺憾であります。本県議会を通じて県民の皆様に対し深くお詫び申し上げます。
 事実関係を調査し、容疑事実が明らかになり次第、厳正な処分を行う考えであります。
 今後とも、職員倫理の確立を図り、不祥事の再発防止に向けて一層の努力を重ね、県民の皆様に信頼される県政の推進に全力を尽くす決意でございます。

 このたびの議会は、国の補正予算における施策の効果を速やかに発揮させるための平成27年度補正予算、これと一体となった14か月予算となる平成28年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず、県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第であります。
 私の二期目がスタートしてから、10か月が経過しました。これまで、私は、この福岡県を太平洋側ではない、日本海側の、しかもアジアを向いた一大拠点として発展させ、この国のバランスのとれた発展に貢献したいと考え、全力で取り組んでまいりました。
 福岡県の経済は、緩やかに回復しつつありますが、年明けから株価が大幅に下落し、為替レートも円高に振れています。これらマクロ経済の動向を十分注視しながら、国の平成27年度補正予算、そして平成28年度予算を最大限に活用して、県経済の回復を確固たるものにし、県内各地の皆様がそれを実感していただけるよう全力を挙げてまいります。
 また、少子化・人口減少が言われる中、それぞれの地域をいかに元気にしていくか、「地方創生」が大きな課題となっています。福岡県は、人口が増え続けている数少ない県の一つですが、余力のある今こそ、将来に備えなければなりません。今後予想される人口減少に一定の歯止めをかけ、誰もが住み慣れたところで働き、安心して子どもを産み育て、長く元気に暮らしていける地域社会を目指し、昨年12月、「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略」を策定しました。この戦略に掲げた「新たな雇用創出一万人」「理想とする子どもの数の実現」「大都市との転出入不均衡の是正」などの目標と、就任以来取り組んできた「県民幸福度日本一」の実現に向け、次の6つの施策に重点的に取り組んでまいります。
 その際、「現場主義」「生活者の視点」「温かみのある行政」、この3つを引き続き心掛けてまいります。

 まず第一は、「景気の回復と魅力ある雇用の場の創出」です。
 昨年10月、「中小企業振興条例」を制定しました。県内雇用の8割を担い、県経済の発展と活力の原動力である中小企業について、成長段階に応じてきめ細かに支援し、多様で活力のある成長発展を図ってまいります。
 就任以来、力を入れてきた「グリーンアジア国際戦略総合特区」については、これまで、48社が特区を活用し、約1360億円の追加の設備投資が行われ、約920人の新たな雇用が生まれました。県内中小企業の参入も始まっており、これを力強く後押しするとともに、引き続き、産学官一体となって、一つでも多くの事業を立ち上げていきます。
 自動車産業については、地域の基幹産業として発展しており、昨年8月、ダイハツグループの「九州開発センター」が完成し、本年春には、トヨタ自動車九州が「開発棟」を開設する予定です。このように、北部九州は、生産だけではなく、設計・開発から生産まで一貫して担うことができる拠点として成長しており、世界のマザー工場としての役割を果たしています。
 水素エネルギー社会の実現に向け、FCVの普及と水素ステーションの整備を一体的に進めております。
 現在、県内において、県の公用車2台、タクシー5台を含め、30台を超えるFCVが導入されています。また、水素ステーションは、西日本で初めてとなる県庁敷地内のステーションを含め、既に3か所が開設され、今後も次々と整備される予定です。
 福岡県が他に先駆けてFCVの普及拠点となるよう、引き続き、官民挙げて取り組んでまいります。
 さらに、産業分野における水素の利用拡大を図るため、燃料電池フォークリフトや業務・産業用燃料電池の工場への導入を促進してまいります。
 これらに加え、将来の成長と雇用が見込まれるロボット、医療・福祉機器、バイオ、航空機といった先端成長産業の育成にも努めてまいります。
 また、本県は、災害のリスクが低く、充実した交通インフラ、豊富な人材、三大都市圏と比較して低廉な地価・オフィス賃料など恵まれた立地環境にあります。そうした利点に加え、グリーンアジア国際戦略総合特区、企業立地交付金、昨年創設した県独自の新たな税制優遇制度などの支援措置も活用して、企業の本社機能の誘致を行っているところです。

 農林水産業は、私たちの生活と食を支える重要な産業です。本県は、全国14位の産出額を誇る農林水産業県です。昨年、TPPが大筋合意され、2月4日、署名式が行われました。こうした中、県としては、本県の大事な農林水産業をしっかり守っていくと同時に、攻めの農林水産業を目指していく必要があると考えています。このため、高性能機械の導入による生産コストの低減、優良家畜の導入による生産性の向上などに取り組み、さらなる競争力の強化、収益力の向上を図ってまいります。
 農産物の輸出は拡大してきており、16億円を超え、過去最高となりました。これまでの販売促進フェアや商談会への出展に加え、今年度から、海外の料理教室における県産農水産物を使用した和食講座の開催、佐賀、長崎と3県合同による県産木材の輸出に向けた実証などに取り組んでいます。アジアをはじめとする海外への輸出拡大に向け、幅広い取組みを引き続き実施してまいります。
 昨年、種がほとんどない甘柿の新品種「秋王」の販売が開始されました。今年の秋には、つやがあり美味しい水稲の新品種「実りつくし」が発売されます。引き続きこうした生産者の所得向上につながるブランド化や地域資源を活用した6次産業化を進めてまいります。
 今後とも、私自身も先頭に立って内外におけるトップセールスに努め、農林水産物の販路拡大に取り組んでまいります。

 観光の分野について、福岡県は、九州の玄関口として大きな役割を果たしています。昨年、九州に入国した外国人は、速報値で、278万人、そのうち205万人が本県に入られました。クルーズ船も外国船だけで一昨年の99隻を大幅に上回る245隻が博多港に入り、いずれも過去最高です。
 今後とも、九州観光推進機構、九州各県と連携し、一層の誘客に努めるとともに、特区を活用した通訳ガイドの育成など受入環境の整備、九州オルレなど新たな観光資源の開発にも取り組んでまいります。
 昨年、ユネスコの世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」については、適切な保全に努め、この素晴らしい資産とその価値を将来の世代にしっかり引き継いでいくとともに、県内に広く伝わる炭鉱の歴史、文化などの観光資源とつなぐことにより、広域的な観光振興、地域振興に活かしてまいります。
 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」については、本年1月、世界文化遺産への推薦について閣議了解が行われ、推薦書がユネスコに提出されました。国及び関係者一体となって、本年秋の現地調査などこれからのステップ一つ一つにしっかり対応し、来年の登録実現を目指してまいります。
 また、来月、「HAWKSベースボールパーク筑後」が筑後市に完成します。この機を捉え、地元自治体で構成される「筑後七国」や関係の皆様と連携して、観光振興、地域の活性化につなげてまいります。
 本年5月、「G7北九州エネルギー大臣会合」が開催されます。本県及び北九州市が我が国エネルギー政策の先進地であること、また産業の集積、観光、食、農産物といった本県の魅力を国の内外に発信する絶好の機会であると考えております。国、北九州市、地元経済界の皆様と連携、協力して、その成功に向け、安全対策を含め、しっかり取り組んでまいります。

 第二は、「出会い、結婚、子育て、就職・仕事の支援」です。
 少子化対策については、若い世代の夢と希望をかなえていくことが重要です。このため、出会い、結婚、出産、育児、就職・仕事など人生の各段階で、きめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じてまいります。
 まず、出会いの機会を増やしていくため、地域や業種の枠を越えたさまざまな出会いの場を創出します。
 子どもの医療費助成については、少子化対策の重要な柱として、対象年齢を小学六年生まで引き上げ、子どもの健康保持、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 保育所の整備や保育士の確保を進め、待機児童の解消を目指します。
 正規雇用への転換の促進については、昨年10月に開設した「正規雇用促進企業支援センター」において、企業に対し、正規雇用への転換の働きかけを行っています。
 さらに、来月、東京で開催する「九州・山口UIJターン就職応援フェア」による若者のふるさと就職の促進、「あかい糸めーる」を活用した出会い・結婚の応援など、九州・山口各県と連携した取組みを進めていきます。

 第三は、「女性や高齢者の活躍の応援」です。
 この社会が活力にあふれ、持続的に成長、発展していくためには、女性の感性や発想、高齢者の知識と経験を最大限に活かしていくことが重要です。
 このため、新たな「男女共同参画計画」を策定し、推進体制を強化した上で、女性が活躍できる環境の整備を一層進めてまいります。
 企業のトップが自ら仕事と子育ての両立支援の取組みを宣言する「子育て応援宣言企業」について、来年度末、6000社の登録件数を目指します。
 また、全国に先駆けて設置した「70歳現役応援センター」については、これまでに、約7700人の高齢者が登録され、そのうち約4割、3000人を超える方が仕事やボランティアで活躍されているところです。 昨年6月、県民の皆様が身近な地域でご利用いただけるよう、新たに久留米と飯塚に常設のオフィスを設置しました。今後も、福岡県が先頭に立って、「70歳現役社会づくり」を、九州・山口、さらには全国へと広げてまいります。

 第四は、「たくましいグローバルな人材の育成」です。
 資源の乏しい我が国においては、「人」こそが最も重要な資源であり、子どもたちは、次代を担う大切な「宝」です。昨年策定した「ふくおか未来人財育成ビジョン」に基づき、「学力、体力、豊かな心」「社会にはばたく力」「郷土と日本、そして世界を知る力」の3つの力を育み、「Think globally,act locally」国際的な視野を持ち、地域で活躍する「ふくおか未来人財」を育成します。
 新たに設置する「人づくり・県民生活部」を中心に教育委員会と連携してこの取組みを進めてまいります。

 2019年、日本で開催されるラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック、この両大会に係るキャンプ地については、県内の多くの市や町が誘致を目指しています。このため、県では、これら自治体との連絡会議を立ち上げ、戦略的・効果的な誘致活動に取り組んでいるところです。
 本県では、全国に先駆け、タレント発掘事業を実施し、トップアスリートの育成を行っております。これまで育成された子どもたちの中から、国際舞台で活躍する選手が数多く出てきており、引き続き育成に努めてまいります。今後、障害者スポーツについても、障害者アスリートの発掘や育成に取り組み、その振興を図ってまいります。

 第五は、「安心して生活できる共助社会の実現」です。
 大きな社会問題になっている子どもの貧困対策について、「教育支援」「生活支援」「保護者に対する就労支援」「経済的支援」の4項目を柱とし、子どもの成長段階や家庭環境に応じたきめ細かな支援を行うため、今年度中に「子どもの貧困対策推進計画」を策定します。この計画に基づき、あらゆる施策を総動員し、全庁挙げて貧困の連鎖を断ち切る対策に取り組んでまいります。
 福岡県は、2025年には、3人に1人が高齢者になると予想されています。高齢者が住み慣れた地域で、安心して生活できるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを一体的に切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を引き続き市町村と連携して進めてまいります。
 「見守りネットふくおか」「認知症高齢者等徘徊SOSネットワーク」など、ネットワークの多重化により、一人暮らしの高齢者や認知症の方々を地域社会全体で支援する体制の強化を図ります。
 障害者の自立支援については、「障害者就業・生活支援センター」による就業支援とあわせ、企業に対する障害者雇用の啓発に努めてまいります。
 また、「まごころ製品」の大規模販売会の開催、小規模障害者施設が共同受注する体制の強化、「障害者応援まごころ企業」の拡大に取り組み、障害者の方々の収入拡大と自立を支援してまいります。

 最後は、「安全・安心、災害に強い県づくり」です。
 防災・減災については、引き続き、ソフト、ハード、両面にわたる対策を総合的に進めてまいります。「地域防災計画」に基づき、情報収集・伝達体制の整備、各種防災訓練の実施、自主防災組織や消防団の充実強化、要援護者対策、災害備蓄の推進など、地域防災力の強化を図るほか、緊急輸送道路の整備、橋りょうの耐震補強、建築物の耐震化の促進などにも取り組みます。
 空き家対策については、市町村の相談体制の整備や特定空家への適切な対応を支援してまいります。
 平成24年の九州北部豪雨災害については、関係者のご尽力により、県の公共土木施設の原形復旧工事は、全て完了しました。改良復旧工事も、完了したものが8割を超えており、その早期完了、一日も早い完全復興に向け、全力で取り組んでまいります。

 地域の将来の発展基盤の整備も重要です。福岡空港については、滑走路増設事業の円滑な推進と早期完成、平行誘導路二重化の早期完成に向け、引き続き、関係の皆様と力を合わせ取り組んでまいります。
 北九州空港については、24時間運用可能な空港の強みを活かして、早朝・深夜便やLCCなど新たな路線の誘致、貨物拠点化を進めるとともに、昨年7月に運行を開始した北九州空港と福岡都市圏を直接結ぶリムジンバスの利用促進に引き続き努めてまいります。

 治安の面では、暴力団対策について、その排除に向けた取組みが大きく前進しております。警察の強力な取締りとあわせて、暴力団への加入阻止、離脱の促進など、警察、行政、事業者、県民の皆様と、しっかりスクラムを組んで取り組んでまいります。
 性犯罪の撲滅については、性暴力の被害に遭われた方がいつでも安心して相談できるよう「性暴力被害者支援センター・ふくおか」の相談時間を24時間へと拡充しました。今後とも、被害者支援の充実を図るとともに、性犯罪の防止に取り組んでまいります。
 被害が拡大している「ニセ電話詐欺」については、昨年6月、「ニセ電話気づかせ隊推進委員会」を発足させ、全国で初めて県民の皆様と一体となった被害防止活動を展開しているところですが、引き続きその活動を充実させ、被害の防止に努めます。
 飲酒運転の撲滅については、県警察、市町村、関係機関・団体と連携して、取り組んでいるところですが、昨年は、飲酒運転による事故件数が5年ぶりに増加しました。海の中道の事故から今年で10年が経過し、悲惨な事故の記憶の風化が懸念されることから、より一層の啓発に努めてまいります。
 このほか、薬物乱用の防止についても、全力で取り組み、県民の皆様の安全・安心を向上させてまいります。

 環境対策については、中間処理施設に対する監視指導、不法投棄に対する監視体制の強化を図るなど、廃棄物の適正処理を確保してまいります。
 地球温暖化対策については、「COP21」を踏まえ、今後策定される国の地球温暖化対策計画と整合を図りながら、新たな県の計画を策定し、取り組んでまいります。

 「地方創生」は、計画段階から、いよいよ肉付け・具体化の段階に移ります。
 県民の皆様と力を合わせて、それぞれの地域が持っている強み、特色を最大限活用して、それぞれの地域を元気にし、発展をさせていく。それを通じて、福岡県全体をさらに前進、発展させてまいります。

 ここで、平成27年度2月補正予算と一体となった14か月予算として編成いたしました平成28年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が一定程度増加する一方で、社会保障関係費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、依然として財源不足が生じるものと見込まれています。
 県としては、こうした厳しい財政環境の中、行政改革と一体となった財政健全化に取り組み、「財政改革推進プラン」の目標を達成するとともに、メリハリを付けた予算編成を行うこととしました。

 平成28年度の当初予算は、
一般会計で、1兆8026億4400万円余
特別会計の総額で、5913億9900万円余
企業会計の総額で、106億700万円余
の規模となっております。
 一般会計につきまして、その内容を概括的に申し上げますと、予算規模は、前年度当初予算比で1.4%の増で、過去最大となっております。

 歳出予算については、公共事業費について、防災・減災対策を加速化するため、前年度に比べ137億円増額しております。また、後ほどご説明申し上げます補正予算においても115億円を増額しております。
 社会保障費については、高齢化の進展等により55億円の増、公債費は35億円の増となっています。人件費は、引き続き職員定員の削減を実施したものの、警察官定員の増加や退職者の増加等により、12億円の増となっています。

 歳入予算につきましては、法人二税や地方消費税が堅調であることから、県税等の収入は前年度に比べ257億円の増で、過去最大となっております。
 一方、県債については、臨時財政対策債の縮減により、111億円抑制することとしております。

 次に、平成27年度の補正予算について、ご説明申し上げます。

 今回の補正予算は、国の補正予算を最大限に活用し、その施策の効果を速やかに発揮させるために必要な経費を措置しております。

 補正予算の額は、一般会計で220億6800万円余であります。これにより、一般会計の総額は、1兆8102億1900万円余となります。

 引き続き、歳出予算の主要施策につきまして、ご説明申し上げます。

 第一は、「景気の回復と魅力ある雇用の場の創出」であります。
 中小企業の支援について、地域経済を支える中小企業の経営安定を図るため、中小企業振興資金の融資総枠を十分に確保しております。また、多様な中小・小規模企業に対するきめ細かな支援を行うため、新たに地域中小企業支援協議会の重点支援企業が行う事業計画の実施に対し助成します。
 併せて、県と酒造組合との連携による福岡県独自の吟醸酵母の開発及び酒造技術者の育成により、大吟醸酒など付加価値の高い酒づくりを支援します。
 また、「グリーンアジア国際戦略総合特区」への企業立地促進交付金を十分に確保したほか、特区事業者と直接取引を行う中小企業の設備投資を支援します。
 成長産業の育成・集積については、「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」の実現に向け、インドネシア自動車関連企業との商談会を本県で開催するとともに、電子・電装系分野の展示会への出展を支援するなど、地元企業の取引拡大を図ります。
 また、新たに販売が開始されるFCVの県公用車への導入、水素ステーションを整備する事業者への助成を行うほか、「北九州水素タウン」を活用した製品開発を支援します。
 このほか、航空機関連企業への県内企業技術者の派遣及び線虫によるがんの超早期診断技術の実用化を支援します。
 戦略的に企業誘致を進めることとし、本県への本社機能誘致を一層進めるため、県独自の税制優遇制度に加え、新たな企業立地交付金制度を創設します。また、県南地域における企業誘致の受け皿となる「久留米・うきは工業用地」を整備してまいります。

 次に、農林水産業の競争力強化であります。
 水田農業について、「元気つくし」「ラー麦」等の県産米・麦の新たな需要開拓、生産拡大・コスト低減に取り組む担い手が行う高性能機械の整備を新たに助成します。
 畜産業の競争力を強化するため、畜産農家の優良家畜の導入、国の経営安定対策制度への加入、飼料生産組織が行う自給飼料の生産拡大に必要な機械整備に対する新たな助成を行います。
 また、生産規模の拡大に必要な施設・機械の導入、「博多和牛」への生産転換を引き続き支援します。
 収益性の高い競争力のある園芸農業の育成・強化については、生産・出荷コストの削減、収益性の高い作付体系への転換、優良品種への改植に伴う省力機械・施設の整備に対し助成を行います。
 新たに、米国における「あまおう」及び東南アジアにおける水産物の市場開拓調査を行うとともに、欧州における八女茶、植木の輸出拡大を図ります。
 併せて、インバウンド観光に対応して外国語案内掲示板を設置する直売所や観光農園に対する助成を行います。
 さらに、首都圏における「あまおう」「早味(はやみ)かん」「秋王」の販売を促進し、本県農林水産物のブランド力を強化してまいります。
 林業については、県産材の供給拡大を図るため、主伐に係る搬出経費に対する助成を行うほか、建築物の木造・木質化に引き続き取り組みます。
 水産業については、新たにノリの養殖工程で重要な採苗安定化技術の開発に取り組みます。
 また、平成29年度に本県で開催する「第37回全国豊かな海づくり大会」のプレイベント、PR活動を実施します。大会の成功に向け、関係市町、漁業関係の皆様と力を合わせ、しっかり準備を進めてまいります。

 次に、本県の魅力発信と観光の振興であります。
 「明治日本の産業革命遺産」について、全23の構成資産共通デザインのモニュメントを三池港に設置するほか、適切な保全・活用に努めてまいります。
 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」については、来年の世界文化遺産登録実現に向け、イコモス審査への対応、情報発信の強化に取り組みます。
 併せて、産業遺産を巡る「地域鉄道の旅」の紹介動画及び県内の様々な史跡・遺跡を巡る「福岡古代の旅」のウェブサイトを新たに制作するなど、世界文化遺産を核として、地域の観光資源を幅広く情報発信する観光プロモーションを推進します。
 また、「とんこつラーメン発祥の地・福岡」を切り口として海外に向けた観光キャンペーンを展開します。
 さらに、観光マーケティング機能を強化するため、新たに特典付き観光パスポートを発行し、これを活用して観光動向調査を実施するとともに、「福岡県観光連盟」の組織を強化し観光プロモーションの充実を図ります。
 このほか、「G7北九州エネルギー大臣会合」及び「第99回ライオンズクラブ国際大会福岡大会」の開催を支援し、本県の魅力を世界に発信します。

 地方創生人材の確保では、首都圏等から本県への移住・定住を促進するため、「ふくおかよかとこ移住相談センター(仮称)」を設置するほか、九州の企業への留学生の就職を促進するため、九州各県共同で人材のマッチングシステムを構築します。

 第二は、「出会い、結婚、子育て、就職・仕事の支援」であります。
 出会い・結婚を応援するため、新たに九州・山口地域で本県の「あかい糸めーる」の共同利用及び「九州・山口結婚・子育てポジティブキャンペーン」を実施するとともに、企業・団体同士での出会いイベントの開催を支援します。
 子育ての支援については、市町村が実施する子ども医療費支給事業に対する補助について、本年10月から、対象年齢をこれまでの就学前までから小学6年生まで引き上げ、県全体として制度の底上げを図ります。
 また、増大する保育需要に対応するため、保育所、認定こども園、小規模保育事業所の施設整備をさらに進めるとともに、保育士資格の取得及び離職中の保育士の再就職を支援し保育人材の確保を進めてまいります。
 福岡地域の総合周産期母子医療センターに、救急搬送の受入先を調整するコーディネーターを設置し、円滑な母体搬送を行います。
 さらに、若年・子育て世帯が行う中古住宅の子育て仕様へのリノベーション工事を助成し、若い世代の経済的負担の軽減を図ります。
 就職・仕事の支援では、若者、30代、中高年、子育て女性といった年代別及び対象別の就職支援センターにおいて、引き続き個別相談及び専門研修を実施します。

 第三は、「女性や高齢者の活躍の応援」であります。
 女性の活躍については、企業における取組みを支援するため、新たに女性活躍推進に必要な情報を集約した手引書を作成します。併せて、女性の登用・環境整備に取り組む企業に専門コンサルタントを派遣します。
 また、福岡女子大学が行う企業の女性管理職等を対象とした女性トップリーダー養成研修を支援します。
 販路拡大やコスト削減に取り組む女性農業者の課題解決を図る専門家チームを派遣するとともに、経営ビジョンの実現に向けた行動計画の策定を支援します。
 新たに、国、北九州市と連携し、女性の就業・創業支援、労働相談等のサービスをワンストップで提供する体制を整備します。
 70歳現役社会の推進については、より身近できめ細かな支援を行うため、県内四地域に設置した「七十歳現役応援センター」における個別相談や企業相談、就業・社会参加支援を充実させるとともに、新たに介護分野における高齢者の職域を開拓します。

 第四は、「たくましいグローバルな人材の育成」であります。
 アクティブラーニングを重視した指導法の研究開発や教員研修の実施により、教員の指導力向上を図り、児童生徒に確かな学力と社会にはばたく力を身に付けさせます。
 また、電子黒板の活用による指導方法の効率化と指導力の向上を図るため、全ての県立学校に電子黒板を配備し、実証研究を行います。併せて、小中学校に電子黒板を整備する市町村に対し助成を行うとともに、その活用研修を実施します。
 小中高校における生徒指導上の諸問題に対応するため、スクールソーシャルワーカーなど専門スタッフを増員し、学校の教育環境改善を図ります。
 新たに、市町村が行う放課後児童クラブでの補充学習に必要な学習ボランティアの配置、「学び道場」との間の児童送迎ボランティア活動に対し助成するとともに、福岡県立大学の学生による学習ボランティア活動を支援します。
 私立学校の経営の健全性を確保し、保護者の経済的負担の軽減を図るため、引き続き私立学校に対する必要な助成を行います。
 スポーツの振興については、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致に向け、対象国を絞った海外誘致プロモーションを実施します。併せて、リオデジャネイロ大会においてメダルを獲得した本県ゆかりの選手の表彰、ラグビートップ選手による小学校でのタグラグビー教室の開催など、大規模国際大会を契機としたスポーツの振興を図ります。
 また、新たに、障害者アスリートを発掘・育成するための強化測定会、指導者の養成研修を実施するほか、パラリンピック出場選手に対する強化合宿費用の助成を行います。

 第五は、「安心して生活できる共助社会の実現」であります。
 貧困の連鎖を断ち切る対策を徹底強化するため、新たに県内4か所にワンストップ型相談窓口「福岡県子ども支援オフィス」を設置し、専門のコーディネーターや支援員による訪問支援を実施します。子どもの現状や将来を見据え、一人一人の個別支援計画を作成し、関係機関と連携してきめ細かな支援を行ってまいります。
 また、生活困窮世帯の高校生に対する訪問相談支援を行い、中途退学を防止し、卒業まで支援していきます。
 併せて、消費期限前の食品の無償提供を受ける仕組みを構築し貧困世帯の子ども達へ配布する活動を行うNPO等に対し助成を行います。
 新たに、児童養護施設の退所者に対する大学進学費用の助成及び自立のための生活費・資格取得費用の貸付を行います。併せて、児童養護施設が行う人材確保のための実習指導に対し助成を行います。
 また、一時保護所を併設した宗像児童相談所の整備を進めます。
 医療、介護、福祉の充実については、新たに、医師確保が困難な医療圏における「総合診療専門研修指導医」の養成、外国人看護師候補者の資格取得に対する助成を行うとともに、潜在介護人材に対する就職準備金の貸付を行います。また、引き続き介護職員の処遇改善を助成します。
 併せて、在宅医療の充実、医療・介護従事者の確保・養成、介護施設の整備を推進します。
 障害者の方々の収入の向上を図るため、新たに「まごころ製品」の認知度向上のためのロゴマークを作成するほか、「まごころ体験メガフェア」「『まごころ製品』美味しいものグランプリ」を開催してまいります。

 第六は、「安全・安心、災害に強い県づくり」であります。
 防災・減災対策の加速化については、緊急輸送道路の整備、ため池・クリークの改修を着実に進めていきます。
 新たに、土砂災害に備えて要配慮者利用施設に対し「土砂災害危険度情報」をリアルタイムで自動配信するシステムを整備します。
 また、民間の大規模建築物、私立幼稚園・学校などの耐震改修等に対し引き続き助成を行い、県内の建築物の耐震化を加速します。
 このほか、災害時に安全で円滑な避難が行われるよう自主防災組織の育成強化を図るとともに、「防災・行政情報通信ネットワーク」の再整備を進め、より確実で迅速な情報通信網を構築してまいります。

 次に、将来の発展基盤の整備であります。
 福岡空港の滑走路増設及び平行誘導路二重化、北九州空港のさらなる利用促進のためのLCCをはじめとした旅客便の誘致及び貨物拠点化に取り組みます。
 また、地域の生活交通を確保するため、市町村が行うコミュニティバス路線の新規開設に対する運行経費の助成を拡充します。

 次に、徹底した治安の確保であります。
 暴力団の壊滅に向け、暴力団員の検挙、保護対策のさらなる徹底を図るとともに、暴力団員の離脱・社会復帰を促進するため、元暴力団員を雇用した事業者に対する就労・職場定着のための給付金及び損害を被った場合の見舞金の制度を創設します。
 性犯罪対策として、新たに、市町村が行う性犯罪防止のための防犯カメラ設置に対する助成を行うほか、若い世代の自主防犯行動を促すため、スマートフォン向け防犯アプリを整備します。
 また、LGBTなどの性的少数者及び男性のDV被害者の相談体制を強化します。
 「ニセ電話詐欺」対策として、「ニセ電話気づかせ隊」をはじめ、「ニセ電話詐欺撲滅運動」を推進するための広報啓発を強化するとともに、捜査資機材を整備し、徹底した取締り・検挙を行います。
 飲酒運転撲滅対策として、若者への広報啓発の強化、取締り・検挙のための資機材の整備を行います。
 また、高齢者が加害者となる交通事故を防止するため、高齢者の運転免許証の自主返納を促す市町村の取組みに対し新たに助成を行います。

 快適な生活環境の整備であります。
 新たに、フードバンク活動の普及のための実態調査やモデル事業を行うとともに、飲食店における「食べ切り運動」の展開、消費者団体と連携した啓発を推進し、食品ロスの削減に取り組みます。
 また、産業廃棄物の監視指導体制を強化するため、中間処理施設や不法投棄に対する監視システムの整備を進めていきます。
 このほか、筑後広域公園など都市公園の整備を推進するとともに、五ヶ山ダムと伊良原ダムの建設を着実に進めてまいります。
 以上が予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました平成28年度予算議案20件及び平成27年度補正予算議案1件のほか、条例議案27件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案4件、経費負担に関する議案3件、その他の議案3件、人事に関する議案1件であります。
 このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県暴力団排除条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、本県からの暴力団の排除を一層推進するため、暴力団からの離脱者に対する就労支援に必要な措置を講ずるとともに、暴力団への利益供与などの禁止行為に対する公安委員会による勧告の適用除外について定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第二は、「福岡県消費生活センター条例」の制定であります。その内容は、「福岡県消費生活センター」を「地方自治法」の規定に基づく行政機関とすることに伴い、その位置、名称及び所管区域を定めるほか、「消費者安全法」の一部改正により、組織及び運営等について必要な事項を定めるものであります。

 第三は、「福岡県河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、流水占用料及び土地占用料の適正な徴収を行うため、占用料の減免規定を改めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第四は、「福岡県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「道路法」の一部改正により、道路の占用における入札制度が導入されたことに伴い、入札における占用料の額の最低額を定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第五は、福岡県職員、公立学校職員及び警察職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例3件であります。その内容は、「地方公務員法」の改正の趣旨を踏まえた人事委員会の報告及び勧告に鑑み、級別標準職務表及び給料表の見直しを行うほか、所要の規定の整備を行うものであります。
 そのほか、「福岡県行政不服審査法提出書類複写等手数料条例」など、福岡県行政不服審査会等に提出された書類の写し等の交付に係る手数料を定める条例4件、「地方公務員法」の一部改正に伴い、福岡県職員、公立学校職員及び警察職員の降給に関する事項を定める条例3件、県立学校及び市町村立学校職員の定数、本県警察官の定員を改める条例などであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成28年3月1日)

 本日、追加提案いたしました議案は、24件であります。その内訳は、平成27年度補正予算関係議案14件、条例議案1件、経費負担に関する議案9件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、平成27年度の最終補正予算として、年度内に措置する必要がある経費を補正するもので、社会保障費等を増額するほか、経費の節減などを行った事業費等を減額しております。
 補正予算の額は、一般会計で45億7千万円余、特別会計で20億5千万円余をそれぞれ減額しております。また、企業会計では、電気事業会計ほか2会計において増額を行っています。
 その結果、平成27年度予算の総額は、一般会計で1兆8056億4800万円余、特別会計で6084億5600万円余となっております。

 一般会計の歳入につきましては、県税、地方消費税清算金のほか、歳出予算に対応した国庫支出金等の補正を行っております。
 歳出につきましては、子ども・子育て支援新制度に係る教育・保育給付費などの社会保障費を増額することとしております。
 以上が補正予算の概要であります。

 条例議案は、平成30年度以降の国民健康保険の財政の安定化を図るため、「福岡県国民健康保険財政安定化基金条例」を制定するものであります。

 経費負担に関する議案は、漁港関係事業及び海の中道海浜公園事業について市の負担すべき金額を定めるもの並びに空港整備事業ほか6件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。