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平成26年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成26年2月26日)

 本日ここに、第14回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、国の経済対策の効果を速やかに発現させるとともに消費税率引上げの影響に適切に対応するための平成25年度補正予算、これと一体となって14か月予算となる平成26年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第であります。

 私が知事に就任してから、間もなく三年になろうとしています。
 これまで、私は「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して、県民生活の「安定」「安全」「安心」の向上に全力で取り組んでまいりました。
 県政の運営に当たっては、県内各地に赴き、関係者の方々と意見交換することを心掛けるとともに、県民意識調査の結果や県議会での議論、福岡県総合計画の数値目標の達成状況等を踏まえ、政策の企画立案、制度の見直し・改善に努めてまいりました。
 就任以来実施している県民意識調査の結果によれば、県民の皆様の幸福実感は着実に上がってきており、また、県民の約8割の方に「福岡県に生まれてよかった、生活してよかった」とお答えをいただいております。
 これからも、生活者の視点を一層重視しながら、いろいろな問題を抱える県民の皆様に寄り添い、向かい合う、温かみのある行政を心掛けてまいります。
 一方、課題もあります。県民意識調査における県政に対するニーズを見ますと、地域によって異なる課題があることも明らかになっております。これらにきめ細かく適切に対応してまいります。
 併せて、将来に向けて持続可能で安定した財政運営を実現するため、新たに「財政改革推進プラン」を策定し、行政改革と一体となって全力で取り組んでまいります。

 長く低迷していた我が国の経済は、政府の積極的な経済政策の効果もあって、緩やかに回復しています。本県経済も、着実に持ち直してきています。
 こうした明るい動きを確固たるものにするため、まず第一に、「着実な景気回復と雇用の確保」に万全を期してまいります。
 消費税率引上げによる景気の腰折れを回避し、景気回復の実感を県内全域に浸透させるため、国の補正予算と平成26年度予算を最大限活用しながら、あらゆる施策を総動員して、地域経済の足元をしっかり固め、雇用を守ってまいります。

 県内雇用の約8割を担う中小企業は、本県経済の発展と活力の原動力です。
 中小企業にとって、消費税率引上げとその転嫁は、大きな懸案になっています。中小企業からの相談にしっかり対応するとともに、国の制度も活用し、総合的に中小企業を支援してまいります。
 特に、消費税率引上げ後の消費の落ち込みを緩和するため、プレミアム付き地域商品券の大幅な増額と年度当初の発行を支援します。
 この商品券は、必ず地域の商店街や商店で消費されることから、地域経済に直接的な効果をもたらすものであります。また、その発行に合わせて、商店街が独自のセールやイベントを開催するなどいろいろな工夫も行われています。商店街、地元経済団体、市町村と力を合わせ、プレミアム付き地域商品券の発行を通じて、地域経済を支えてまいります。

 「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、指定区域の拡大や地域独自の支援策によって、この2年間で750億円の新たな設備投資と、470人の新規雇用が見込まれています。昨年、国から、全国7つの特区の中で、最も高い評価をいただきました。
 引き続き、産学官が一体となって、一つでも多くのプロジェクトを具体化し、その効果を広く県の内外に波及させるとともに、特区関連分野に参入を目指す企業を支援してまいります。

 現在、この国は、「強い日本」を取り戻そうとしています。これに貢献し、また、福岡県の将来の発展を図っていくためにも、本県の強みを活かして世界をリードできるような先端成長産業を育てていくことが重要です。
 北部九州は、154万台の生産能力を誇る世界有数の自動車生産拠点です。各自動車メーカーは、いずれも最新鋭の生産設備を有しており、また、春にはダイハツ工業の久留米開発センターが開設されるなど、設計・開発機能の集積も進んでいます。
 世界における生産拠点間競争の激化、次世代自動車の普及、ITS(高度道路交通システム)をはじめとした技術の進歩など、自動車産業が大きな転換期を迎える中、地元企業の技術力向上、人材育成に積極的に取り組み、アジアをリードする自動車の一大生産拠点を目指してまいります。

 天然資源が乏しい我が国は、技術によってエネルギーの安定供給を図る必要があり、水素は、その解決の大事なキーテクノロジーです。
 本県では、他に先駆けて、産学官を挙げて、水素の研究開発や社会実証、産業化等に取り組んでまいりました。今春には、「水素エネルギー製品研究試験センター」(HyTReC)に、燃料電池自動車から水素ステーションまで、ほぼ全ての水素貯蔵タンクの試験が可能となるアジアで唯一の施設も完成します。
 平成27年、燃料電池自動車が本格的に市場に導入され、節目の年を迎えます。
 今、水素エネルギーの世界的な競争が激化している中、我が国がリードしてきたこの分野での産業競争力を確固たるものにするため、官民一体となった燃料電池自動車の需要の創出や水素ステーションの整備に力を入れてまいります。

 また、次世代有機EL、医療・福祉機器、バイオ技術を活用した付加価値の高い食品等の研究開発や実用化を支援し、新産業の芽を育て、新市場を開拓してまいります。

 農林水産業は、私たちの生活と食を支える重要な産業です。本県は、農業産出額が全都道府県14位の全国有数の農業県です。
 水田農業については、今年、「農地中間管理機構」がスタートします。これまで、本県は、永続的な担い手への農地集積や法人化に取り組んできました。国の制度を活用するとともに、蓄積したノウハウを活かし、水田農業の生産性向上を図ってまいります。
 先日、開催した「ふくおか『農と商工の自慢の逸品』展示商談会」では、農林漁業者や商工業者とバイヤーとの間で活発な商談が行われました。今後とも、農林漁業者の所得向上と雇用機会の創出のため、本県の農林水産物の6次産業化を積極的に推進してまいります。
 また、競争力のある品目の認知度を高め、「あまおう」に続く県産品のブランド化を推進します。私自身、引き続き、内外におけるトップセールスに努めます。さらに、輸出の拡大や持続可能な林業経営の確立にも取り組み、将来に希望の持てる元気で競争力のある農林水産業を目指します。

 本年1月から、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放映が始まりました。県内には、福岡城跡をはじめ、京築の馬ヶ岳城跡、筑豊の麟翁寺、秋月の城下町など、官兵衛ゆかりの地や史跡がたくさんあります。
 一人でも多くの方々に福岡県を訪れていただけるよう、関係者力を合わせて、本県の元気と魅力を広く内外に発信してまいります。また、県民の皆様には、郷土の歴史について、改めて関心を持っていただく契機になればと考えております。
 昨年、JR九州の「ななつ星」も、運行を開始しました。今春から、KLMオランダ航空のアムステルダム直行便が増便となり、世界各地から福岡・九州を訪れる方が増えることが期待されます。
 「九州アジア観光アイランド総合特区」で認められた九州独自の観光ガイドの育成などにより、おもてなし体制の充実・強化を図ってまいります。

 こうした取組みによって、景気回復の動きを確かなものとし、雇用の場を拡大していくと同時に、ハローワークと連携しながら、求職者の年齢や状況に応じたきめ細かな就職支援を強化します。

 第二に、「誰もがいきいきと活躍できる社会の実現」です。
 少子・高齢化が進む中、我が国が活力にあふれ持続的に発展していくためには、女性と高齢者の活躍が不可欠です。
 今日、ゆとりや安らぎ、生活者としての視点がより重視される中、女性ならではの感性や発想は、活力ある地域社会づくりや、企業の経営革新、持続可能な社会保障制度の構築という点からも、重要になっています。
 我が国の人口構成をみると、50代から女性の数が男性を上回っていますが、本県では、20代から女性の数が男性を上回っています。まさに、女性の活躍が本県発展の鍵を握っていると言えます。
 このため、県が率先し、その動きを市町村や経済界などあらゆる分野に波及させていきたいと考えています。県庁では、就任以来、女性の管理職を大幅に増やしてきました。県の審議会等においても、女性委員の登用を積極的に進め、その比率は約四割、全国第五位となっています。
 また、「ふくおか女性いきいき塾」を昨年度開講し、企業や地域で活躍しているリーダーを育成しているところです。
 こうした中、民間においても、女性管理職の登用目標を自ら定めて宣言する動きが始まっており、官民一体となって、本県で活躍する女性を増やしてまいります。

 本県では、全国に先駆けて、高齢者の皆様がそれぞれの意思と能力に応じて、働いたり、ボランティア活動を行うことができる「70歳現役社会」の実現に取り組んでいます。「社会から支えられる側」であった高齢者が「社会を支える側」になる新しい長寿社会の全国のモデルとなるものです。
 一昨年開設した「70歳現役応援センター」では、これまでに1万2千人を超える相談が寄せられるなど、多くの高齢者に利用されています。
 昨年、センターの北九州オフィスを新たに開設したほか、筑豊及び筑後地域でも出張相談を開始しました。
 今年、九州・山口各県とで「70歳現役社会づくり研究会」がスタートします。本県のこれまでの成果やノウハウを提供し、九州・山口から「70歳現役社会」を広げていきます。

 若者が将来の生活に希望を持って家庭を築くためには、子どもを安心して生み育てることができる環境の整備が必要です。
 待機児童の解消を目指し、新たに四千人を超える保育需要の受け皿を整備するとともに、保育士の確保に努めてまいります。また、「子育て応援宣言企業」の拡大、子育て女性の就業支援に引き続き取り組んでまいります。

 「まごころ製品」については、県議会をはじめ、県内各地での販売会等で、多くの方々のご支援をいただいております。心からお礼申し上げます。
 昨年、国や地方公共団体が率先して障害者施設から物品やサービスを調達するよう努めることを義務付ける障害者優先調達推進法が施行されました。こうした動きを民間まで広げていくため、新たに「まごころ製品」を購入した企業を「障害者応援まごころ企業」として認定する制度を創設し、官民一体となって障害者の収入の向上を図り、自立を支援してまいります。引き続き、より一層のご協力をお願いいたします。

 誰もが安心できる医療・介護体制の充実にも取り組みます。
 高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援といったサービスを一体的に切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を推進します。
 重症心身障害児者を介護する家族の負担軽減(レスパイトケア)に向け、13の障害保健福祉圏域のうち医療型短期入所事業所のない六圏域において、介護老人保健施設を活用した短期入所サービスの提供を行うこととし、必要な機器の整備等を支援します。また、相談支援体制の強化を図ってまいります。

 第三に、「未来を切り拓く人材の育成と文化・スポーツの振興」です。
 次代を担う子どもたちの能力を伸ばしていくことは、今を生きる私たちの重要な使命です。学校、家庭、行政が一体となり、地域全体で子どもたちの学力や体力の向上、社会を生き抜く力の育成に一層力を入れてまいります。
 「全国学力・学習状況調査」の全教科区分で全国平均を上回ることを目標に、学力向上推進強化市町村の指定を拡充するとともに、小中連携教育や土曜授業を推進し、学力アップを強力に進めてまいります。

 先日、国際宇宙ステーションに滞在中の若田宇宙飛行士と福岡県の子どもたちとの直接交信が行われました。
 その際、若田さんから、「みなさんは、一人ひとりが誰にも負けない力を持っています。興味があることや得意分野を生かし、世の中のためになることを見つけて努力してください。夢や目標を持って努力していれば、たとえ失敗してもその経験を教訓に成功できるはずです。」とのメッセージをいただきました。
 若田さんの言葉は、子どもたちの胸に深く刻まれたことと思います。夢に向かって頑張る子どもたちを大いに育ててまいります。

 我が国の近代化を支えた「明治日本の産業革命遺産」については、平成27年度の世界文化遺産登録を目指して、ユネスコの諮問機関であるイコモスによる調査に万全の態勢で臨みます。
 また、「宗像・沖ノ島と関連遺産群」についても、推薦書の作成を鋭意進めるとともに、登録に向け、県民の皆様の気運の醸成を図ってまいります。

 最後に、「安全・安心の向上」です。
 まず、「災害に強い福岡県」を目指します。
 未曽有の大災害であった東日本大震災と一昨年夏の豪雨災害は、私たちに災害への備えと地域の絆の大切さを改めて認識させました。
 このため、大規模地震に備え、県下の建築物の耐震化を集中的に実施し、加速させます。不特定多数の人が利用する民間の大規模建築物や主要ターミナル駅、私立学校施設に対する新たな補助制度を創設します。併せて、木造戸建住宅について、市町村が補助を行わない場合でも、県下全域を対象に県単独の補助を行います。
 また、豪雨災害からの一日も早い復興を目指すとともに、事前防災・減災対策や自主防災組織の育成を進め、地域防災力を強化します。

 本県にとって、治安の確保は、喫緊の課題です。
 暴力団対策に県を挙げて取り組む中、暴力団によるとみられる凶悪な事件が発生していることは、極めて遺憾であり、断じて許し難いものです。
 暴力団の壊滅に向けて、県警察があらゆる手段を駆使して、県民の安全確保に総力を挙げるとともに、防犯カメラ設置に対する助成など対策を強化します。そして、警察、行政、事業者、県民が一丸となって暴力団に立ち向かってまいります。

 私が知事に就任する以前は、本県の飲酒運転事故発生件数は、全国ワースト1位でした。その後、全国初の罰則を伴う飲酒運転撲滅条例の施行など、県議会をはじめ県民の皆様のご協力により、昨年ワースト9位まで改善してきましたが、残念ながら未だ高い水準にあります。
 「飲酒運転は絶対しない、させない、許さない」という意識が県民の皆様一人ひとりに定着するまで、飲酒運転の撲滅に取り組んでまいります。

 以上述べたような施策を総合的に進めることによって、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指してまいります。

 ここで、平成26年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が一定程度増加する一方で、増嵩する社会保障関係費、高水準で推移する公債費等により、依然として財源不足が生じるものと見込まれています。
 県としては、こうした厳しい財政環境を踏まえ「財政改革推進プラン」を新たに策定することによって、行政改革と一体となった財政健全化に取り組み、メリハリを付けた予算編成を行うこととしました。

 平成26年度の当初予算は、
 一般会計で、1兆6718億3300万円余
 特別会計の総額で、6177億4500万円余
 企業会計の総額で、137億9000万円余
 の規模となっております。
 一般会計につきまして、その内容を概括的に申し上げますと、予算規模は、過去最大となっており、前年度当初予算比で2.5%の増です。また、公債費、地方消費税清算金等を除いた一般歳出は、0.7%の増となっております。

 歳出予算については、公共事業費について、国の経済対策を最大限活用し、後ほどご説明申し上げます本県の平成25年度2月補正予算において182億円を増額するとともに、当初予算においても補助・単独事業費合わせて、前年度に比べ59億円、3.2%の増を確保しております。
 行政施策費については、後期高齢者医療財政安定化基金による広域連合への県交付金が減少したことや参議院議員通常選挙が終了したこと等により40億円の減となっております。
 社会保障費については、消費税率の引上げに伴う事業拡大に係る県負担の増額等を含めて102億円の増、公債費は72億円の増となっております。
 一方、人件費は職員定員の削減、退職手当支給率の引下げ等により、69億円の減となっております。

 歳入予算につきましては、昨年度からの景気回復の動きにより法人2税が堅調であることや、地方消費税率の引上げなどの税制改正の影響等により、県税等の収入が前年度に比べ516億円の増となっております。
 また、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を含めた地方交付税等は、県税収入等の増に伴い総額で122億円の減となっております。

 歳入・歳出全般にわたって極力財源不足の圧縮に努めた結果、46億円の財源不足が生じる見込みとなりました。これについては、財政調整基金や減債基金等からの繰入れを行い、収支の均衡を図ったところであります。

 歳出予算の主要施策につきまして、ご説明申し上げます。

 第一は、「着実な景気回復と雇用の確保」であります。
 地域経済を支える中小企業の経営安定を図るため、中小企業振興資金の融資枠を引き続き十分確保するとともに、消費税率引上げにより影響を受ける中小企業を新たに緊急経済対策資金の融資対象とします。
 経営改善計画の実行及び販路拡大を図る中小企業に対し、専門家を派遣します。
 また、海外展開を目指す企業を支援するため、米国、アジア諸国で商談会を開催します。

 次に、「グリーンアジア国際戦略総合特区構想」の推進についてであります。
 特区への企業の立地を促進するための交付金を引き続き十分に確保するとともに、特区関連分野への参入を図る企業の人材確保・育成を支援してまいります。

 次に、成長産業の育成・集積であります。
 「北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想」の実現に向け、次世代型自動車部品の開発支援を行うほか、ITS(高度道路交通システム)関連の研究会及び電子・電装部品商談会を新たに開催します。併せて、インドネシアへの自動車ビジネス訪問団派遣により、地元企業のアジアへの事業展開を支援します。
 燃料電池自動車について、県において率先導入を行うとともに、新たにタクシー事業者への導入支援及び水素ステーションを整備する事業者への助成を行います。
 また、今後大きな成長が見込まれる医療・福祉機器分野への県内中小企業の参入を進めるため、セミナーを開催するとともに、薬事法規制に関する相談窓口を設置します。

 次に、元気で競争力のある農林水産業づくりです。
 水田農業について、「農地中間管理機構」における農地の出し手に対する協力金に係る国の制度に県が新たに創設する独自の制度を組み合わせることによって、担い手への農地集積を強力に推進してまいります。
 福岡県産品のブランド化を促進するため、テレビCMの放映や県産農林水産物を使用するホテル・料理店のメニュー開発の支援に新たに取り組みます。
 また、6次産業化の推進のため、加工・販売施設の整備に対し新たに助成を行うほか、優れた商品の認証制度を創設します。
 県産農林水産物の輸出拡大を図るため、海外マーケットにおける販売フェアを開催するとともに、船便輸送における新たな鮮度保持技術の導入を支援します。
 林業については、県産材の供給拡大を図るため、主伐に係る搬出経費に対する新たな助成を行うほか、需要拡大のため、建築物の木造・木質化を推進します。
 水産業については、ひき縄釣り等の収益向上を図るため、新たに鮮度保持マニュアルと出荷基準の策定等に取り組みます。

 次に、本県の魅力発信と観光の振興であります。
 NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放映を契機とした観光プロモーションを引き続き展開します。
 筑豊の炭鉱、北九州の製鉄所等の観光資源化、ミシュランガイドを活用した観光情報の海外への発信により、本県観光のブランド化を推進します。
 アジアや欧州において、食、観光、若者文化など福岡県の魅力を総合的にPRする展示会への出展を行うほか、県産品の輸出促進及び海外からの観光客誘致を積極的に進めます。

 次に、将来の発展の基盤となる社会資本の整備であります。
 東九州自動車道の一日も早い開通に向け整備を促進するとともに、下関北九州道路の整備に係る経済影響調査を実施します。
 また、福岡空港の平行誘導路二重化及び滑走路増設をはじめ、北九州空港の貨物拠点化、三池港の国際コンテナ航路の安定化に取り組んでまいります。

 次に、安定的なエネルギー需給の確保であります。
 新たに「エネルギー対策特別融資制度」を創設し、中小企業が行う再生可能エネルギー設備や省エネルギー設備の導入を支援します。
 さらに、県、市町村、民間の避難施設・防災拠点施設への太陽光発電設備、蓄電池の導入を加速するとともに、道路照明や交通信号機のLED化を進めます。

 次に、雇用の確保ときめ細かい就職支援であります。
 若者、30代、中高年、子育て女性といった年代別及び対象別の就職支援センターにおいて、引き続き体験雇用や専門研修を実施するとともに、ハローワークとの求職者情報の共有化をさらに強化いたします。
 県立高校及び県立特別支援学校にキャリアコーディネーターを配置し、インターンシップの受入れ企業の開拓を行うなど、キャリア教育の充実を図ってまいります。

 第二は、「誰もがいきいきと活躍できる社会の実現」であります。
 女性の社会での活躍を推進するため、企業の男性管理職を対象とするセミナーの開催や女性が自治会等の地域で活躍している優良事例の収集・発信に新たに取り組みます。
 「70歳現役応援センター」の登録者の増加に対応するため、コーディネーターを増員し、仕事やボランティアで活躍する高齢者の一層の拡大を図ります。

 次に、子どもを安心して生み育てることのできる環境整備であります。
 平成27年4月に予定されている子ども・子育て支援新制度の本格施行に向け、本県における支援計画を策定します。
 また、待機児童を早期に解消するため、保育所の整備や保育士の処遇改善による人材確保を進めるとともに、新制度を先取りして市町村が行う小規模保育事業などを支援してまいります。
 さらに、経済的に厳しい家庭への支援策として、保育所入所児童から中学生までの子どもたちの基本的生活習慣・学習習慣が改善されるよう、引き続き取り組みます。

 障害者の収入向上を図り自立を促進するため、官公需向け商談会を県内四地域で新たに開始するとともに、「障害者応援まごころ企業」の認定や「まごころ製品」の大規模販売会を実施します。

 次に、誰もが安心できる医療・介護体制の充実であります。
 県内の4地域をモデルとして選び、「地域包括ケアシステム」の構築・検証を行うとともに、全ての二次医療圏に「認知症医療センター」を設置します。
 併せて、介護の要因となる転倒・骨折につながるロコモティブシンドローム(運動器症候群)予防の取組みの普及・定着を図ります。
 また、「九州国際重粒子線がん治療センター」(サガハイマット)において治療を受ける方々の負担軽減に取り組むほか、新たに、医師確保を目的とする「地域医療支援センター」、医療機関における働きやすい職場環境整備のための「医療勤務環境改善支援センター」を各々設置します。
 さらに、「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」に基づく施策を推進するため、「歯科口腔保健支援センター」を設置し、学童期、成人期及び高齢者を対象としたむし歯・歯周病予防などに取り組みます。
 医師や獣医師などの関係者と連携・協力し、狂犬病などの人と動物の共通感染症を予防するため、発生予防策の検討を行うとともに、啓発のためのシンポジウムを開催します。

 多様な主体との協働による共助社会にしていくため、「ふくおかNPOマーケット」の開催により、NPOの財政力の強化を図ります。
 また、「共助社会づくり基金」を活用して、地域におけるNPOの協働の取組みを支援します。

 第三は、「未来を切り拓く人材の育成と文化・スポーツの振興」であります。
 児童生徒の学力向上のため、引き続き小5から中3を対象とした教材集の作成と診断テストを実施します。 
 加えて、学力向上支援チームの派遣を拡充するとともに、新たに外部人材を活用して、土曜授業を推進します。
 また、小中学校における自然の中での困難を克服する体験や動物とのふれあいを通じて、児童生徒の「やり抜く心」や「命を大切にする心」を育成します。
 いじめ・非行の未然防止、早期発見、早期対応を強化するため、警察官OBによるスクールサポーターを増員します。
 新たに、中1からの不登校を防止する「中1不登校等対策アドバイザー」の派遣を行うとともに、教員や保護者を対象に、インターネットの適正利用を推進するネットパトロール員を養成します。
 私立学校の経営の健全性を確保し、保護者の経済的負担の軽減を図るため、私立学校に対する必要な助成を行います。

 次に、文化・スポーツの振興であります。
 「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催決定を契機に、これまで培ってきたタレント発掘のノウハウを活かし、海外の優秀なコーチによるアスリートの育成に強力に取り組みます。
 また、新たに県内60市町村対抗の「福岡駅伝」を開催することにより、県民のスポーツ活動を一層推進します。
 このような取組みを通じ、年齢、性別、障害の有無に拘らず、県民の誰もが手軽に楽しくスポーツに親しむことができる社会を目指してまいります。

 第四は、「安全・安心の向上」であります。
 耐震改修促進法の改正を機に、新たに、民間の大規模建築物の耐震診断、JR博多駅などの主要ターミナル駅の耐震改修及び耐震化が遅れている私立幼稚園・学校の耐震改修・改築、各々に対する補助制度を創設します。
 併せて、木造戸建住宅の耐震改修に係る補助制度を拡充します。
 災害時における円滑な住民避難を図るため、避難支援の担い手となる自主防災組織の設立・育成強化を進めるとともに、消防団員や消防団OBを「自主防災組織指導員」として養成し、避難訓練等へ派遣します。

 次に、徹底した治安の確保であります。
 暴力団壊滅のため、防犯カメラの設置や暴力団事務所撤去運動への支援に取り組む市町村に対する助成を行うとともに、監視カメラの画像分析システムなど資機材の充実を図ります。
 従来の飲酒運転撲滅キャンペーンに加え、海の中道大橋における飲酒運転事故が発生した日付である毎月25日にも新たにキャンペーンを実施します。
 アルコール依存者及びその疑いがある者の早期発見のため、事業主と家族を対象としたアルコール依存症講習会を開催します。
 性犯罪対策として、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」における相談や警察・病院への付き添いなど、被害者へのきめ細かな支援を引き続き行うとともに、新たに大学生や専門学校生に向けた被害防止のための啓発を実施します。

 次に、快適な生活環境の実現です。
 大気測定局を県域に4局増設し、大気汚染監視体制を強化します。
 飯塚市の産業廃棄物最終処分場において、周辺モニタリングを引き続き実施するとともに、地下滞留水の処理などの行政代執行を進めます。
 豊かな自然環境を守るため、新たに、県民参加型の生きもの調査、黄金川スイゼンジノリ保全活動への支援、英彦山の絶滅危惧植物の保護対策に取り組みます。
 また、地域住民の生活交通を確保するため、筑豊電気鉄道が行う車両更新や市町村が行うコミュニティバス路線の維持・確保などに対し助成します。
 筑後広域公園など都市公園の整備を推進するとともに、五ヶ山ダムと伊良原ダムの建設を着実に進めます。

 次に、平成25年度の補正予算について、ご説明申し上げます。

 今回の補正予算は、国の経済対策の効果を速やかに発現させるとともに、本年4月1日の消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減に適切に対応できるよう、公共事業の追加実施等に要する経費について措置しております。併せて、県単独事業として、プレミアム付き地域商品券の発行支援に要する経費を増額するものであります。

 補正予算の額は、一般会計で362億4800万円余、特別会計で10億900万円余であります。これにより、一般会計の総額は、1兆6685億2500万円余、特別会計の総額は6281億2000万円余となります。
 一般会計及び特別会計の歳入は、国庫支出金、県債、基金繰入金等を計上しております。
 このほか、公営企業会計では、工業用水道事業について所要の補正を行うことといたしております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、道路、河川、ため池整備などの事前防災・減災対策の取組みを加速するとともに、学校の耐震化、公営住宅の老朽化対策に要する経費を増額します。
 併せて、有床診療所のスプリンクラー等の設置に対し新たに助成してまいります。
 また、都市間アクセス道路整備費を追加するとともに、農業用施設・漁港の整備や覆砂による漁場環境改善等に要する経費を措置いたしました。
 次に、緊急雇用創出事業として、新卒者の就職支援の強化や中小企業の従業員の賃金引上げなどの処遇改善に対し支援を行ってまいります。
 併せて、市町村が行う緊急雇用創出事業に対する助成費を追加しております。
 県単独事業として、商店街等が行うプレミアム付き地域商品券の発行に対する助成費を大幅に増額します。
 このほか、原子力災害時におけるUPZ(緊急時防護措置準備区域)内の離島住民の安全を確保するため、屋内退避施設に放射線防護対策を実施するための経費を措置しております。
 これらの事業費のほかに、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」などの積立金を計上しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案及び諮問は、ただいまご説明申し上げました平成26年度予算議案20件及び平成25年度補正予算議案3件のほか、条例議案21件、契約の締結に関する議案6件、経費負担に関する議案4件、人事に関する議案3件、その他の議案3件、福岡県教育委員会が行った退職手当の支給制限処分について知事への審査請求がなされたことに伴う県議会への諮問1件であります。
 このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、産業廃棄物処理施設の設置が地域の生活環境に与える影響について、県民の安全・安心を確保するため、施設の設置者は知事の定める指針に基づき環境調査を行うことを定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第二は、「福岡県立学校授業料等徴収条例及び福岡県立高等学校通信教育入学料及び受講料条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」の一部改正に伴い、県立高等学校の授業料等の徴収について定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第三は、「福岡県農地中間管理事業支援基金条例」の制定についてであります。その内容は、農地の集積を支援する事業を推進するため、「福岡県農地中間管理事業支援基金」を設置するものであります。

 第四は、福岡県立公文書館条例など36条例を改正する「福岡県立公文書館条例等の一部を改正する条例」及び「福岡県港湾施設管理条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、本年4月1日から消費税率が引き上げられること等に伴い、いずれも使用料の額等を改定するものであります。

 第五は、「附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例」についてであります。その内容は、「いじめ防止対策推進法」に基づき、いじめ防止の有効な対策についての審議等を行う「福岡県県立学校いじめ防止対策推進委員会」を設置するものであります。

 そのほか、「福岡県消費者行政活性化基金条例」等条例の有効期限を延長するもの6件、福岡県人事委員会の勧告等に鑑み、福岡県職員等の給与に関する条例等の一部を改正するもの3件などであります。

 以上、提出議案等の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成26年3月6日)

 本日、追加提案いたしました議案は、26件であります。その内訳は、平成25年度補正予算関係議案16件、経費負担に関する議案10件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、国庫支出金等の決定に伴う追加経費、その他県政運営上年度内に措置する必要がある経費について、増額補正するものであります。また、経費の節減などにより年度内の所要額がほぼ確定した事業費等について、減額補正を行っております。
 補正予算の額は、一般会計で5600万円余を増額し、特別会計で24億6300万円余を減額しております。また、企業会計では、病院事業会計ほか3会計において増額を行っています。
 その結果、平成25年度予算の総額は、一般会計で1兆6685億8200万円余、特別会計で6256億5600万円余となっております。
 一般会計の歳入につきましては、県税、地方交付税のほか、歳出予算に対応した国庫支出金等の補正を行っております。
 本年度の県税収入は当初予算額を175億円余り上回る見込みであり、さらに地方譲与税及び地方交付税の増額や経費の節減などにより、一般財源の確保が見込まれます。このため、当初予算に計上しておりました財政調整基金等からの繰入れを行わないこととするほか、減債基金への積立てを行い、今後の財政運営に備えることとしております。

 次に、歳出予算で追加いたしました主な経費について、ご説明申し上げます。
 特定疾患対策費などの社会保障費や直轄事業費負担金を増額することとしております。
 また、地域経済活性化・雇用創出臨時交付金などを財源とする基金の積立金を計上しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 経費負担に関する議案は、海の中道海浜公園事業ほか2件について市町の負担すべき金額を定めるもの及び空港整備事業ほか6件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成26年3月14日)

 本日、追加提案いたしました議案は、人事に関する議案1件であります。

 去る2月20日、福岡県公安委員会委員がご逝去されました。それに伴い、県民の安全・安心を守る県警察の運営を管理する公安委員会の業務に支障が生じないよう、早急に補欠の委員を任命する必要があります。このため、福岡県公安委員会委員を任命することについて、県議会の同意を求めるものであります。

 以上が提出議案の概要でありますが、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。