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平成20年2月定例会の知事議案説明要旨

 当初提出議案(平成20年2月27日)

 本日ここに、第5回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご多用の中、ご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成20年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず私の県政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 「世界同時好況」を続けてきたグローバル経済は、米国におけるサブプライムローン問題の表面化とそれに伴う信用収縮、景気後退が懸念されるに至り、にわかに不安定なものとなりました。世界好況は、BRICSと呼ばれる新興経済国の成長力に支えられてまいりました。しかし、米国が現状のような課題を抱えると、今後も新興経済国が世界経済を牽引できるのか、世界の成長力が低下していくのか、今年はその分岐点の年になりました。
 日本経済は、輸出により支えられており、世界経済の動向に大きな影響を受けることとなります。それだけに、サブプライムローン問題の本質である証券化や格付け問題に対する新たな国際ルールづくりを行い、世界的な資金循環の再生を図るべきであり、日本政府の積極的役割を期待するものであります。
 さらに今年は、米国、ロシア、台湾の新しいリーダーを選ぶ選挙も行われ、今後の我が国を取り巻く政治情勢の動向を注視する必要があります。
 日本経済は、息の長い景気回復が続いてきましたが、世界経済の変調を受け、予断を許さない状況になってまいりました。我が国は、景気回復の恩恵を受けることの少なかった中小企業の振興、賃金や所得の向上政策を進める必要があります。さらに、21世紀に成長し強い雇用創出力を持つ産業育成政策と、これに必要な人材育成政策を展開し、経済発展力を強化しなければなりません。
 今年は、我が国の様々な制度が大きく変革する年であります。
 少子高齢化が急速に進む中、持続的、安定的な社会保障制度を再構築することが急務となっており、後期高齢者医療制度の導入や療養病床の再編成、年金制度の改革などが進められています。
 教育の改革も求められております。教育基本法改正後初めてとなる学習指導要領改訂案では、ゆとり教育を転換し、授業時間数の増加、道徳教育や伝統・文化教育、体験活動の充実が取り入れられました。
 京都議定書の第一約束期間が始まる今年は、2013年以降の温室効果ガスの次期枠組みを検討する北海道洞爺湖サミットが開催されます。日本がリーダーシップをとり、人類の将来を左右する地球温暖化対策を進めなければなりません。

 このような内外情勢の中、4月から県庁の組織体制を一新し、新しい社会づくりに果敢に挑戦することにより、元気で生活満足度の高い福岡県をつくってまいります。私は、平成20年度を未来を拓く創造の年にしたいと考えております。
 まず、県民の皆さんが互いに協力し支え合う「共助社会」をつくってまいります。県内各地域で高齢者見守りネットワークづくりを推進するなど、高齢者の皆さんが安心して、はつらつと生活を楽しむ健康長寿社会をつくります。
 様々な少子化対策により本県では出生数が増加してまいりました。厚生労働省の人口動態統計速報では、昨年、多くの県で前年に比べ出生数が減少する中、本県はその増加数、増加率ともに全国第2位でありました。この機会を逃すことなく、子育てを地域や職場など社会全体で応援していく仕組みづくりをさらに進めてまいります。
 また、障害者の皆さんが地域で自立していきいきと暮らすことができるよう、就労や自立支援のための特別対策を実施するとともに、様々な障害に対応し適切な教育を行う特別支援学校や高等部の新設など、障害を持つ子どもたちの教育環境の向上を図ります。
 社会保障費が増加する中、後期高齢者医療制度の円滑な導入などにより安定的な制度運営を確保するとともに、安心して医療を受けられる体制づくりに努めてまいります。
 少子高齢化や行政ニーズの多様化などに対応するため、NPOやボランティアなど「新しい時代の公」を担う多様な主体が活躍する社会づくりが重要となっています。新社会推進部を新たに設け、新しい社会システムの構築を強力に推進してまいります。
 NPO、ボランティアと、企業や行政が協働し新たな社会づくりを進めるためのプランを作成するとともに、NPOの柔軟な発想や専門性を活かした協働事業を積極的に展開してまいります。また、男女共同参画社会、生涯学習社会づくりを進めてまいります。
 併せて、昨年12月に制定した「福岡県安全・安心まちづくり条例」に基づき、地域防犯活動を県民運動としてさらに活発に進めてまいります。
 本県の雇用の7割以上は中小企業によって支えられております。それだけに、中小企業の振興が特に重要であります。技術力の向上や制度融資の充実、ITを活用した取引拡大、地場産業の振興など総合的支援により、世界で活躍する中小企業を育ててまいります。
 同時に、県民所得を向上させ、豊かな県民生活を実現するためには、21世紀に伸びる先端成長産業の育成・集積が必要です。自動車、先端半導体、バイオテクノロジーなどの産業クラスター政策を重点的、機動的に進めてまいります。
 農林水産業については、新たに設ける農林水産部の下、新品種の開発やブランド戦略の展開、海外輸出の積極的推進、高収益型園芸農業産地の育成などにより、将来に展望の持てる産業として一体的な振興を図ってまいります。
 さらに、SOHOの育成、若者や子育て女性への就業支援など、多様な働き方を選択できる社会づくりを進めてまいります。
 教育については、子どもたちの学ぶ意欲や自尊感情、規範意識、体力の向上を図ることが特に重要であります。このため、先月、「教育力向上福岡県民会議」から「福岡の教育ビジョン」の第一次提言をいただきました。今後は、学校が中心となり取り組む「福岡の教育ビジョン」と、家庭や地域社会が中心となる「青少年アンビシャス運動」を両輪とし、県民総がかりで、志を持つ、たくましい福岡の子どもたちを育ててまいります。
 これからの環境問題は、地球温暖化をはじめ地球的視野で対応する必要があります。本県では4月から森林環境税を活用した荒廃森林の再生事業に着手するとともに、家庭や事業所における省エネルギーの推進や排出量取引の導入に関する検討など、温室効果ガスの削減に取り組んでまいります。また、究極のクリーンエネルギーである水素エネルギーの総合的開発・利用を図るための「福岡水素戦略(Hy - Lifeプロジェクト)」の推進や国境を越えた環境汚染対策に取り組んでまいります。
 本県は、先週、タイのバンコク都、インドのデリー州に続き、ベトナムのハノイ市と友好提携を締結しました。21世紀は発展を続けるアジアの時代であります。東アジアの要の位置にあり、古くから常に先進的な交流を展開してきた本県は、アジア諸国のダイナミズムを積極的に取り込み、アジア交流広域都市圏として大きく発展していくことを目指していかなければなりません。経済、環境、学術、文化、教育、観光など様々な分野にわたり、県民の皆さんの幅広い参画を得て、さらに重層的、多角的な交流を進めてまいります。また、ポップミュージックやまんがなど若者が感性や価値観を共有するアジア若者文化の交流や、留学生の生活・就職を支援するセンターの開設など国際化政策を戦略的に展開してまいります。
 本県がアジアにおける交流拠点として、将来にわたり大きく発展するため、九州新幹線や東九州自動車道などの交通基盤の着実な整備を進めます。大交流時代を支える福岡空港については、総合的調査を進め、将来に展望を拓く確固とした選択ができるよう努めてまいります。また、産業の発展や生活の利便性を支える道路や情報通信網など、社会資本の整備を進めてまいります。
 現在、国会では、道路特定財源、暫定税率廃止は大きな政治問題になっております。これが廃止されれば、地方にとって不可欠な道路の整備を困難にするのみならず、地方財政に危機をもたらすものであります。暫定税率の維持を強く求めるものであります。
 質の高い生活を享受する21世紀型の都市像は、従来の一極集中・過密型ではなく、医療、文化、教育、産業などの拠点がバランスよく配置され、道路や情報インフラで結ばれたネットワーク型の都市圏であります。働きやすく、住みやすく、利便性の高い新しい都市圏づくりを進めてまいります。
 さらに、市町村合併が進展し、道州制の議論が進む中、広域的な視点から、市町村振興を支援するとともに、各地域の個性に応じた広域的地域振興を総合的に進めてまいります。
 私は、地方分権の時代の中で、こうした課題に真正面から取り組み、世界の範となる新しい社会システムをつくるという高い志をもって「元気でやさしい希望のふくおか」づくりに全力で取り組んでまいります。

 ここで、平成20年度の当初予算編成についてご説明申し上げます。
 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の伸びが鈍化する中で、社会保障関係費の自然増などにより依然として大幅な財源不足が続いております。
 平成20年度の地方財政計画は、定員削減や地方単独事業費の抑制などを通じて歳出の抑制が図られたところでありますが、一方で、地方が自主的・主体的に取り組む地域活性化施策に必要な特別枠として「地方再生対策費」が創設され、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の総額は平成15年度以来の増額となったところであります。
 このような財政環境の下、平成20年度の本県財政は、歳入面では県税収入が前年度当初予算に比べて減少するものの、地方交付税等の増加が見込まれております。一方、歳出面では義務的経費である社会保障費や公債費が増加することなどにより、依然として財源不足が見込まれたところであります。
 このため、平成20年度当初予算編成に当たっては、職員数の削減や事業の見直しなどの行財政改革措置を着実に実施し、財源不足の圧縮を図るとともに、「元気でやさしい希望のふくおか」づくりを新しい県庁組織の下で進める上で、緊要な施策に対し財源の重点的配分を行うという方針で臨んだところであります。

 この結果、平成20年度の当初予算は、一般会計で、1兆5,348億9,900万円余、特別会計の総額で、6,333億3,100万円余、企業会計の総額で、90億1,600万円余の規模と相成っております。
 一般会計につきましてその内容を概括的に申し上げますと、予算規模は前年度当初予算比で0.1%の増となっており、公債費や地方消費税清算金などを除いた一般歳出は0.2%の増となっております。
 歳出予算のうち社会保障費については、引き続き国の医療制度改革に伴う増加抑制措置及び本県独自の抑制策を実施することといたしましたが、後期高齢者医療や慢性肝炎対策に係る新たな負担が生じたことなどにより前年度に比べ96億円増加しております。
 また、公債費については、過去に借り入れた県債の償還及び利子の支払いが増加し、前年度比42億円の増となっております。
 さらに、建設事業費については、事業の重点化、効率化に努め、県負担額の抑制を図ったところでありますが、九州新幹線の建設が大幅に進捗する見込となったことに伴い、前年度に比べ38億円の増となっております。
 一方、人件費は前年度に比べ29億円の減となっております。これは、退職手当が増加したものの職員数の削減や給与構造改革などに引き続き取り組み抑制に努めた結果、給与費が45億円減少したことによるものであります。
 また、一般行政費については、選挙費が減となったほか、既存の事務事業全般を厳しく検証しつつ、緊要な政策課題に的確に対応するための再構築を図ったことなどにより、前年度に比べ97億円の減となっております。
 このほか、税収の動きに連動する税関連市町村交付金等が前年度に比べ45億円の減となっております。
 歳入予算につきましては、原油価格の上昇やサブプライムローン問題等の影響を受け、法人二税を中心に県税収入が前年度に比べ177億円の減となったほか、地方消費税清算金収入も前年度比76億円の減となっております。
 一方、地方財政計画において「地方再生対策費」が創設されたことなどに伴い、地方交付税及び地方交付税の振替措置である臨時財政対策債などが前年度に比べ273億円増加しております。
 以上申し述べましたとおり、厳しい財政状況の中で歳入・歳出全般にわたる改革措置を講じ、極力財源不足の圧縮に努めたところでありますが、平成20年度については148億円の財源不足が生じる見込となりました。これに対しては、財政調整基金や減債基金等を繰り入れて収支の均衡を図ることとしたところであります。

 以上、当初予算の概要について申し述べました。今回の予算編成においては、機構改革に伴う新たな組織体制の下で効率的、効果的に施策を推進するため、事業の見直し・統合や新たな事業の構築を行いました。
 また、七つの柱からなる重点施策を掲げ、福岡県の新たな飛躍に向けて県政の積極的な推進を図ることといたしております。
 重点施策の体系に従い、歳出予算の主な内容につきましてご説明申し上げます。

 重点施策の第一の柱は「健やかで安心して暮らせる共助社会づくり」であります。
 まず、子育て応援社会づくりについてであります。
 少子化の流れを変えるため、結婚応援活動の活性化を図るとともに、「子育て応援の店」の1万店舗への拡大、「子育て応援宣言企業」の3千社への拡大に取り組んでまいります。
 また、県内4カ所の総合周産期母子医療センターの充実強化や病児・病後児保育の運営費助成、放課後児童クラブの規模の適正化支援に取り組んでまいります。
 さらに、医療費助成制度につきましては、乳幼児の通院医療費の助成対象年齢を就学前までに、母子家庭等医療費の助成対象を父子家庭までに拡大するとともに、受益と負担の公平化などの観点から、持続可能で安定的な制度への再構築を図ってまいります。
 このほか、母子家庭等就業・自立支援センターを久留米市及び飯塚市にも開設し、センターと連携して就業機会の創出に努めてまいります。
 次に、安心と生きがいの持てる高齢社会の構築についてであります。
 ひとり暮らしの高齢者世帯などを地域全体で見守るためのネットワークの整備を進めるとともに、ねんりんスポーツ・文化祭の開催など高齢者が活躍できる場の拡大に取り組んでまいります。
 また、4月からスタートする後期高齢者医療制度において、運営主体となる広域連合に対する県費負担などを行うことといたしております。
 次に、障害のある人が自立していきいきと暮らせる社会の構築についてであります。
 障害者自立支援法の円滑な実施を図るため、各種の臨時対策事業や利用者負担の更なる軽減を実施するとともに、子会社を設立して重度障害者などを多数雇用する企業の誘致や一般企業での障害者の就労促進に取り組んでまいります。
 重度心身障害者に対する医療費助成については、対象を精神障害者にまで拡大するとともに、受益と負担の公平化などの観点から制度を見直してまいります。
 このほか、粕屋新光園の改築に向け、基本構想の策定を行ってまいります。
 次に、健やかな暮らしの確保についてであります。
 生活習慣病予防のための特定健診及び保健指導の円滑な実施に向け、保健指導従事者の育成や県が作成した指導マニュアルの活用を図ってまいります。
 また、慢性肝炎のインターフェロン治療に対する助成措置を講じるほか、がん対策の推進のため、診療連携拠点病院の機能強化やがん検診の精度向上に努めてまいります。
 さらに、終末期における在宅医療を推進するための24時間訪問看護ステーションの整備や自殺に関する総合相談窓口の開設に取り組んでまいります。
 次に、地域の暮らしを守る安全・安心の確保についてであります。
 安全・安心まちづくりにつきましては、条例の基本理念に基づき、県民運動の一層の展開を図るほか、暴力団排除に向けた地域活動を推進してまいります。
 治安対策につきましては、引き続き指定暴力団等に対する捜査、取締や繁華街・歓楽街等における犯罪対策を強力に実施するとともに、企業等の事業者に対しても防犯責任者の設置などを促してまいります。
 学校における児童生徒の安全確保につきましては、子どもの登下校時等の見守り体制の整備などを進めてまいります。
 交通安全対策につきましては、ボランティアとの協働による交通事故抑止のための高齢者宅訪問活動を強化するほか、各種団体による交通事故防止アクションプランの実施や信号機、道路標識などの各種交通安全施設の整備、交差点改良などを進めてまいります。
 食の安全の確保につきましては、製造業者に新たな食品表示基準の周知を図るとともに、食品小売店等の巡回指導を強化してまいります。
 多重債務問題につきましては、民間団体との協働による生活再生支援のための相談窓口の開設や生活再生資金の貸付などを行ってまいります。
 このほか、北部福岡緊急連絡管の整備や河川の流域を単位として災害対策の施設整備などを行う総合流域防災事業、県立学校の耐震対策などに引き続き取り組んでまいります。

 重点施策の第二の柱は「多様な主体が活躍できる新しい社会づくり」であります。
 まず、NPO・ボランティアとの協働の推進についてであります。
 NPOの育成支援や協働の拡大、定着を図るため新たなプランを策定するとともに、県民サービスの向上のためにNPOからの優れた提案を募集・選定して協働する事業を拡充してまいります。
 また、20周年を迎えるアジア太平洋こども会議イン福岡事業への助成や犯罪被害者等の支援・相談窓口の開設など、県行政の様々な分野でのNPOとの協働事業を実施してまいります。
 次に、男女が共に能力を発揮できる男女共同参画社会づくりについてであります。
 地域での男女共同参画活動を担う人材や団体を積極的に育成するとともに、小規模事業所における育児休業制度導入のための支援などに取り組んでまいります。
 また、配偶者からの暴力に関する相談事業や被害者の再出発応援事業などを引き続き実施してまいります。
 次に、生涯学習社会づくりについてであります。
 県立美術館の将来構想検討委員会の運営や高齢者の社会参加活動等の促進を図る交流拠点の開設に取り組むほか、新たに、教育委員会から新社会推進部に生涯学習の所管を移し、学習情報の提供や学習拠点のあり方など、今日における生涯学習の振興方策を検討してまいります。

 重点施策の第三の柱は「所得の高い雇用を生む力強い産業づくり」であります。
 まず、中小企業の経営力の強化と振興についてであります。
 中小企業振興資金及び元気フクオカ資金の融資枠を確保するとともに、元気フクオカ資金の融資要件の緩和や融資限度額の引き上げによる中小企業向け無担保融資の拡大を図ってまいります。
 また、商工会議所や商工会による経営指導、中小企業振興センターによる経営革新支援、中小企業団体中央会による企業相互の連携ネットワーク構築支援などを積極的に推進します。
 さらに、ファッション産業の拠点化を目指し、ファッションショー「福岡アジアコレクション」の開催や新進デザイナーの発掘・育成に取り組んでまいります。
 このほか、地場産品のブランド化による販路拡大や中心市街地の活性化のための商店街のにぎわい創出、大規模集客施設の街なかへの誘導などを引き続き進めてまいります。
 次に、先端成長産業の育成・集積についてであります。
 本県の活力を維持し、雇用を生み出していくためには、大きな発展が見込まれる戦略産業を育成していくことが重要であります。
 このため、北部九州地域での自動車150万台生産拠点の形成に向け、人材育成や技術支援による地元企業の参入拡大などをさらに推進してまいります。
 また、福岡システムLSI総合開発センターにベンチャーのための共用設計ラボを整備するなど、研究開発支援や人材育成を引き続き行い、システムLSI設計開発の拠点化を推進してまいります。
 さらに、新薬の早期製品化支援のための県内4大学連携による治験ネットワークの推進などを通じ、バイオ産業の拠点化をさらに進めるとともに、ナノテクノロジーを核とした産業の育成やロボット産業の振興に取り組んでまいります。
 このほか、情報産業の集積に向けては、コンテンツ産業におけるリーディング企業群の育成やプログラム言語Rubyの活用促進などを図ってまいります。
 次に、収益性の高い農林水産業の振興についてであります。
 本県の農林水産業が持続的に発展していくためには、農林水産業者が意欲と誇りを持ち、将来を展望できるよう収益性を高めることが重要であります。
 このため、農林水産業を一体的に所管する新たな組織の下で、農林水産物の総合的な販売促進や海外輸出の拡大、都市との交流や直売所を拠点とした地域づくりによる農山漁村の活性化に取り組んでまいります。
 農業の振興につきましては、活力ある高収益型園芸農業産地や競争力のある土地利用型農業の育成に取り組むとともに、新品種・新技術の開発とブランド化を推進してまいります。
 また、本県が開発したラーメン専用小麦の安定生産と販売戦略の構築や県産飼料づくりと生乳出荷枠の流動化による酪農経営の安定化に取り組んでまいります。
 林業の振興につきましては、森林整備や森林組合の合併促進に取り組むとともに、需要者が求める県産木材の安定供給体制を新たに構築し、県産材の需要拡大を図ってまいります。
 水産業の振興につきましては、水産資源の増殖技術等の開発や漁業協同組合の合併促進、「福岡のり」のブランド化の推進による産地間競争力の強化、有明海の漁場改善のための覆砂事業などに取り組んでまいります。
 また、新宮相島で始まった高品質真珠養殖業の発展のため、防疫・生産体制を整備するほか、漁業調査取締船「つくし」を小型高速化し、筑前海における磯密漁の取締強化などを図ってまいります。
 次に、希望の持てる再就業促進と多様な就業社会の形成についてであります。
 若年者しごとサポートセンターにおける就職相談や実践的セミナー、自動車関連人材の育成などに取り組むとともに、高等技術専門校において企業ニーズに応じた実践的な職業訓練を行ってまいります。
 また、子育て中の女性に対する再就職支援の推進やSOHO、短時間勤務正社員など多様な就業形態の育成普及を図ってまいります。
 さらに、農林漁業における新規就業を促進するため、合同セミナーや就業相談会を開催するとともに、新規就業者に対する支援を実施してまいります。

 重点施策の第四の柱は「教育力の向上と文化・スポーツの振興」であります。
 まず、志を持ったたくましい青少年の育成についてであります。
 青少年が自らの目標を見出し、たくましく成長することができるよう家庭、地域、学校、企業等が連携して環境を整備していくことが喫緊の課題であります。
 このため、子どもたちが集い、多様な体験ができるアンビシャス広場の拡充、本のわくわく探検、日本の次世代リーダー養成塾の開催などの事業に取り組むとともに、新たに小学校高学年の児童を対象とした宿泊体験活動の実施や民間からの寄付をもとに青少年の外国留学を支援する基金の設置を行うことといたしております。
 いじめ及び不登校問題対策につきましては、スクールカウンセラーや訪問指導員の配置、不登校児童生徒を支援するフリースクールへの助成、福岡県立大学における「不登校・ひきこもりサポートセンター」の運営などを引き続き実施してまいります。
 青少年の非行防止につきましては、少年補導員による対策のほか、青色パトカーによる巡回活動を行うモデル地域の支援などを実施してまいります。
 次に、確かな学力・体力・意欲・心を育てる学校教育の推進についてであります。
 教育力向上福岡県民会議の提言を受け、志を持って意欲的に学び、自律心と思いやりの心を持つたくましい子どもを育てる「福岡の教育ビジョン」を県民運動として推進してまいります。
 また、市町村による学力向上プラン推進のための取り組みへの支援、子どもの体力向上方策の実施、県立学校生徒の志の育成と学ぶ意欲の向上を図るプロジェクトへの支援、県立工業高校における産業人材育成の充実などに取り組んでまいります。
 さらに、県が設立した3公立大学法人に対する運営費交付金や私立学校教育振興のための運営費補助金など必要な助成措置を講じております。
 このほか、福岡女子大学の改革に向けた基本計画の策定や県立特別支援学校整備計画に基づく施設整備、福岡、長崎、山口3県による共同運航のための水産高校実習船の建造に取り組んでまいります。
 次に、歴史文化・スポーツの振興についてであります。
 九州歴史資料館の移転改築工事を引き続き実施するほか、県と市町村の共同公文書館の基本設計、久留米スポーツセンター陸上競技場の第一種公認更新のための大規模改修工事等を行うことといたしております。
 また、邪馬台国九州説に関するシンポジウムや講座を開催するとともに、新たな文化財保護行政の基本指針を策定してまいります。

 重点施策の第五の柱は「環境にやさしい循環型社会づくり」であります。
 まず、リサイクルを推進する資源循環型社会づくりについてであります。
 自動車やIT製品の製造に欠かせないレアメタルの再生利用システムの構築に向けた調査検討を行ってまいります。
 また、森林の整備により発生する未利用の間伐材等を活用した低コスト燃料の供給システムの開発に取り組んでまいります。
 次に、地球的視野に立った環境の保全と水素エネルギー社会の実現についてであります。
 県内中小企業等の温室効果ガス排出量の削減を図るため、排出量取引による削減可能量調査等を実施するとともに、家庭や事業所における省エネルギーを促進し、地球温暖化対策を進めてまいります。
 また、発展するアジア諸国への環境分野での貢献を目的とした国際環境人材育成事業を実施するほか、新たに、光化学オキシダントなど、東アジアにおける越境環境汚染に関する国際的なルールの構築に向け「国際環境協力フォーラム」を開催してまいります。
 さらに、環境負荷のない究極のクリーンエネルギーである水素エネルギーの実用化に向け、水素タウンや水素ハイウェイなどの実証実験を行うとともに、研究開発支援や人材育成などを積極的に進めてまいります。
 このほか、過去に不適正に処理された産業廃棄物の除去などを進めてまいります。
 次に、美しい県土の保全・活用と森林の再生についてであります。
 二酸化炭素の吸収や県土の保全など多様な機能を有する森林を県民共有の財産として守り育てるため、森林環境税を活用し、荒廃した森林の再生と県民参加の森林(もり)づくりを推進してまいります。
 また、筑後地域、京築地域の広域的景観計画の策定などの県民参加による美しい県土の形成のための諸施策や水資源の安定的な確保を図るためのダム建設、自然公園の整備などに取り組んでまいります。
 次に、快適な生活環境づくりについてであります。
 快適で潤いのあるまちづくりを推進し、県民一人ひとりが生活の豊かさとゆとりを実感できる環境づくりを進める必要があります。このため、都市公園や水辺環境、下水道の整備、市街地整備の促進などに引き続き取り組んでまいります。

 重点施策の第六の柱は「アジアと共に発展する交流拠点の形成」であります。
 まず、アジアの拠点ふくおかの構築についてであります。
 来訪者が400万人を超えた九州国立博物館と一体となって活動する県立アジア文化センターの管理運営の充実や九州大学伊都キャンパスを核とした新しい学術研究都市構想の推進に取り組んでまいります。
 また、将来的に需給の逼迫などが予想される福岡空港について対応方策を見出すため、引き続き、幅広い合意形成を図りながら、国、県、福岡市が連携して総合的調査を進めるとともに、新北九州空港の利便性の向上と航空貨物拠点化を図るため、路線・便数の更なる拡大と空港機能の充実を促進してまいります。
 さらに、三池港が開港100周年を迎えることを機に、帆船イベントなどの記念行事を開催し、国際物流拠点としてのイメージを高めてまいります。
 次に、戦略的に進める多様な交流・連携についてであります。
 ブラジル日本移民100周年を迎えるに当たり、代表団をブラジルに派遣するとともに、移住国と本県の交流の窓口である海外福岡県人会の後継者育成を支援するため、県人会子弟を福岡に招へいいたします。
 また、アジアの若者文化を通した交流を積極的に推進するため、アジアユースカルチャーセンターのウェブサイトの充実やまんがフォーラムの開催などに取り組んでまいります。
 さらに、産学官による「福岡県留学生サポートセンター」を開設し、総合的な留学生支援を行うほか、インド・デリー州との友好提携記念事業として、「福岡フェア inデリー」を開催いたします。

 重点施策の第七の柱は「生活満足度の高い個性ある地域づくり」であります。
 まず、広域地域振興の推進についてであります。
 新たな企画・地域振興部の体制のもとで、地域資源の活用を最大限に図り、地域の魅力を高めるための広域的な振興施策に取り組んでまいります。
 また、筑後地域におけるネットワーク型田園都市圏構想や京築連帯アメニティ都市圏構想の推進のための戦略的プロジェクト、中山間地域におけるITを活用した地域活性化事業などを実施してまいります。
 さらに、市町村の合併に向けた取り組みや合併後の一体的なまちづくりを引き続き支援してまいります。
 次に、産業と生活を支える社会資本の整備についてであります。
 広域的な連携を促進し、県土の均衡ある発展を図っていくため、九州新幹線・鹿児島ルート、東九州自動車道、九州縦貫自動車道の地域活性化インターチェンジなどの整備促進を図るとともに、都市高速道路の福岡高速5号線の建設や地域における主要道路の整備を進めてまいります。
 次に、地方分権を活かす行財政システムづくりについてであります。
 本庁の抜本的な組織再編に続く出先機関の再編や職員数の更なる削減、事務事業の一層の見直し、職員の意識改革など、行政改革大綱に基づく行財政改革を強力に推進してまいります。
 また、国から地方への税源移譲に伴う市町村の税の徴収力強化については、地方税収対策本部を中心として県と市町村の連携を積極的に進めてまいります。

 本日、ここに提案いたしております議案は、ただいまご説明申し上げました平成20年度予算議案20件のほか、条例議案15件、専決処分したものを報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案8件、経費負担に関する議案1件、その他の議案4件であります。
 このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。
 第一は、「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」等の一部を改正する条例であります。その内容は、学校教育法等の一部を改正する法律の趣旨にかんがみ、公立学校における組織運営や指導体制の充実等を図るため、副校長、主幹教諭及び指導教諭の職を設置することに伴い、所要の規定の整備を行うものであります。
 第二は、後期高齢者医療制度の創設に伴い、保険者となる広域連合の財政安定化を図る基金の設置について定めるため、「福岡県後期高齢者医療財政安定化基金条例」を制定するものであります。
 第三は、青少年の外国大学等への留学を支援する基金を設置し、国際的に活躍する人材の育成を図るため、「福岡県アンビシャス外国留学支援基金条例」を制定するものであります。
 第四は、「福岡県保健福祉関係手数料条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、薬事法の一部改正により登録販売者制度が創設されたことに伴い、登録販売者の試験等に係る手数料を定めるほか、介護サービス情報の公表等に係る手数料の額の改定を行うものであります。
 第五は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の制定に伴い、福岡県公益認定等審議会の組織及び運営に関する事項を定めるため、「福岡県公益認定等審議会条例」を制定するものであります。
 そのほか、県立学校及び市町村立学校の教育内容の充実、児童生徒数の変動等に伴い、当該学校の職員の定数を改めるもの、北九州水上警察署を関係警察署に統合することに伴い、所要の規定の整備を行うもの、大濠公園に大型自動車等の駐車場を整備したことに伴い、利用料金の上限を定めるもの、関係法令の一部改正等に伴い所要の規定の整備を行うものなどであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

 追加提出議案(平成20年3月6日)

 本日、追加提案いたしました議案は27件でありますが、その内訳は平成19年度補正予算関係議案15件、経費負担に関する議案12件であります。

 まず、予算議案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、国の補正予算関連事業費について追加するほか、国庫支出金等の決定に伴う追加経費、その他県政運営上年度内に措置する必要がある経費について増額補正するものであります。また、経費の節減などにより年度内の所要額がほぼ確定した事業費等について減額補正を行っております。
 補正予算の額は、一般会計で50億7,600万円余、特別会計で6億9,200万円余をそれぞれ減額いたしております。また、企業会計では、病院事業会計ほか2会計において補正を行っております。
 その結果、平成19年度予算の総額は、一般会計で1兆5,278億1,200万円余、特別会計で5,289億2,300万円余と相成っております。
 本年度の県税収入は、最近の経済情勢を反映して、当初予算額を310億円程度下回ることが見込まれることから、これを減額し、代わるべき財源として地方交付税及びその振替措置である減収補てん債などを計上することといたしております。

 次に歳出予算で追加いたしました主な経費についてご説明申し上げます。
 国の補正予算関連事業につきましては、災害対策として治山及び道路の公共事業費を増額するとともに、事業の効率的な執行を促進するため、公共事業費の債務負担行為を措置いたしております。
 また、教員免許更新制度の導入に伴い、免許を取得した都道府県と異なる勤務地や住所地において更新手続を行うことができるよう、免許状の情報管理システムを全都道府県が共同で開発するための経費等を計上いたしております。
 そのほか、保健福祉部関係では、生活保護費及び老人医療対策費、土木部関係では、道路の直轄事業費負担金をそれぞれ追加いたしております。
 以上が補正予算の概要であります。

 経費負担に関する議案は、空港整備事業ほか10件について議決内容の一部を変更するもの及び海の中道海浜公園事業について福岡市の負担すべき金額を定めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

 追加提出議案(平成20年3月12日)

 本日、追加提案いたしました議案は、条例議案1件、その他の議案1件であります。
 これらの議案は、健康保険法等の規定に基づく診療報酬の算定方法に係る厚生労働省の告示が廃止され、新たな告示が平成20年4月1日から適用されることに伴うものであります。
 条例議案は、福岡県保健環境研究所手数料条例等関係条例の使用料及び手数料の算定方法等を定める規定の一部を改正するものであります。
 その他の議案は、公立大学法人九州歯科大学が徴収する料金の上限の一部変更を認可するため、県議会の議決を求めるものであります。

 以上が提出議案の概要でありますが、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。