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令和3年12月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和3年12月1日)

 議案の説明に入ります前に、発言をお許しいただきたいと思います。
 去る11月2日、小川洋前知事がご逝去されました。元気に回復され、お会いできることを信じておりましたが、本当に悲しみに耐えません。
 3期9年余に渡り、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指し、ふるさとのため、県民の皆様のために全力を尽くされましたことに感謝を申し上げ、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 本日ここに、第16回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、本県独自の営業時間短縮等の措置を10月15日に解除し、1か月半が経過しました。この間、本県の新規陽性者数、病床使用率、重症病床使用率などの主要な指標は、非常に低い水準で推移しております。
 今後、ワクチン接種の進展や新たな治療薬の普及等により、感染拡大の抑制や重症化予防が期待されます。しかし、その一方で、新たに懸念すべき変異株が確認されており、これまでのような感染拡大が繰り返される可能性があることを前提に、引き続き、新型コロナウイルス感染症としっかり向き合っていく必要があります。
 このため、県では、県医師会をはじめ医療関係者や市町村の皆様と協議を重ね、病床や宿泊療養施設の確保を中心とした医療提供体制だけではなく、保健所等による療養調整を含めた総合的な保健・医療提供体制を整備するため、「福岡県保健・医療提供体制確保計画」をとりまとめたところです。この計画を着実に推進し、次の感染拡大に備えてまいります。
 また、本県独自の指標である「福岡コロナ警報」についても、専門家の意見や市町村との協議を踏まえた上で見直しを行いました。
 新規陽性者数をはじめ、新たな変異株やブレークスルー感染の動向など、感染の状況を引き続き注視するとともに、第5波の経験やワクチン接種の進捗等を踏まえ、医療の逼迫を招くことのないよう、これまで以上に医療提供体制に係る指標を重視し、具体的な数値の設定は病床使用率のみとしました。
 また、急速な感染拡大に備え、先手を打って必要な対策を講じるため、国にまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の適用を要請するタイミングを従来よりも前倒しすることとします。
 今後、「福岡コロナ警報」の各指標を注視し、適切なタイミングで警報や特別警報の発動・解除、必要な措置の実施・解除を行うことにより、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。

 この議会に提案いたしております議案は、26件であります。その内訳は、予算議案3件、条例議案7件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、工事請負契約の締結に関する議案6件、その他の議案7件、人事に関する議案2件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策、8月大雨災害の復旧・復興に要する経費のほか、地域活性化に必要な経費を措置しております。
 補正予算の額は、一般会計で17億5300万円余、企業会計では、工業用地造成事業で5700万円をそれぞれ増額しております。
 その結果、一般会計の総額は、2兆6197億5500万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金、県債、繰越金などを計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 感染拡大の防止では、介護・障がい福祉サービス事業所が行うマスクや消毒液などの衛生用品の購入に対する助成費を計上しております。
 また、感染者が発生した介護サービス事業所が行う代替職員の確保や事業所の消毒・清掃に対する助成費のほか、介護サービス事業所が行う介護ロボット、ICT機器の導入に対する助成費を増額しております。

 事業継続の支援では、売上げが減少した中小企業を支援するため、「緊急経済対策資金」の融資枠を拡大するとともに、県が保証料を全額肩代わりするための経費を増額しております。
 次に、8月大雨災害の復旧・復興対策であります。
 がけ崩れや地すべりが発生した箇所の斜面対策工事に要する経費を計上するとともに、国指定文化財の復旧費を措置しております。

 このほか、データセンター等、企業誘致の受け皿となる「直方・鞍手工業用地」造成のための調査費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
第1は、「福岡県職員の特殊勤務手当に関する条例及び福岡県職員の給料の調整額に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、こども療育センター新光園に勤務する看護師の勤務体制の見直しに伴い、当該看護師の特殊勤務手当の額及び給料の調整額を改めるものであります。

 第2は、「福岡県警察の組織及び定員に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、早良警察署の分割による城南警察署の新設に伴い、警察署の名称、位置及び管轄区域を改めるものであります。

 そのほか、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例5件であります。

 専決処分したものについて報告し承認を求める議案は、排水ポンプ車の取得に係るものであります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、一級河川遠賀川水系曲川鯨瀬排水機場2号ポンプ更新工事ほか1件について契約を締結するもの及び筑紫丘高等学校本館棟改築工事ほか3件について議決内容の一部を変更するものであります。

 その他の議案は、来年度の当せん金付証票の発売額及び本県が所管する公の施設のうち17施設に係る指定管理者の指定について、県議会の議決を求めるものであります。

 人事に関する議案は、福岡県人事委員会委員の選任及び福岡県公害審査会委員の任命について、県議会の同意を求めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和3年12月7日)

 本日、追加提案いたしました議案は、5件であります。その内訳は、令和3年度の給与改定に関する補正予算議案1件、県職員の給与関係条例議案3件、特別職の給与関係条例議案1件であります。

 給与改定につきましては、去る9月22日、人事委員会から「福岡県の職員の給与等に関する報告及び勧告」がありました。県といたしましては、勧告制度の趣旨、国家公務員に対する国の取扱い、他の地方公共団体の対応などを勘案し、総合的に検討した結果、勧告どおり、期末勤勉手当の引下げなど、給与の改定を実施することとしました。併せて、特別職の職員及び県議会議員の期末手当についても、一般職の職員の期末勤勉手当の状況に鑑み、引き下げることとしております。

 これらにより、一般会計で29億9100万円余を減額することとしております。
 一般会計の歳入につきましては、県債及び基金繰入金などの補正を行っております。
 以上が提出議案の概要でありますが、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和3年12月17日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案2件であります。

 今回の補正予算は、国の補正予算を最大限活用し、新型コロナウイルス感染症対策、地域経済の活性化と成長・発展に要する経費のほか、安全・安心の確保に必要な経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で868億2900万円余、企業会計では、流域下水道事業で3億7007百万円余をそれぞれ増額しております。
その結果、一般会計の総額は、2兆7035億9200万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金及び県債などの特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、繰越金を計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 第1は、「感染防止対策と保健・医療提供体制の強化」であります。
 感染拡大時、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき知事が要請した場合において、感染の不安を感じる方が、無料でPCR等検査を受検できるようにいたします。また、健康上の理由等でワクチン接種を受けられない方が、ワクチン・検査パッケージ等を利用するために受検するPCR等検査についても無料化することとし、これらに必要な経費を新たに計上しております。
 オミクロン株や今後新たに発生する変異株に迅速に対応するため、変異株のスクリーニング検査やウイルスのゲノム解析に必要な経費を新たに計上しております。
 本県の宿泊施設を旅行者に安心して利用していただけるよう、施設の感染防止対策を調査員が県独自の基準に基づき確認した上で認証する「福岡県宿泊施設感染防止対策認証制度」を創設し、その実施に要する経費を計上しております。
地域鉄道、乗合バス及びタクシー事業者が行う車内消毒や消毒液の購入などの感染防止対策に対する助成費を措置しております。
 ワクチンの3回目接種に向け、接種回数や人員を増やした医療機関に対し、接種費用の上乗せを行うための経費を計上しております。
 保健・医療提供体制を強化するため、保健所による自宅療養者の健康観察を迅速に行えるよう、看護師等を増員するとともに、病状が悪化したり、不安感が強くなった自宅療養者を看護師が直接訪問するための経費を新たに措置しております。

 第2は、「事業継続と雇用・生活の支援」であります。
 地域の日常生活の移動手段である公共交通を維持するため、新型コロナウイルス感染症の影響により乗客が減少している地域鉄道、乗合バス事業者の事業継続のための支援金を措置しております。
 雇用対策では、「子育て女性就職支援センター」において、働く場を失ったひとり親家庭等の女性に対し、新たに有給インターンシップを活用し、個々の希望に合った企業とのマッチング支援を行うとともに、「若者就職支援センター」の相談員を増員し、来春卒業予定の未内定学生を対象とした大学での個別就職相談を実施するなど、就職が困難となっている方々の早期就職を図るための経費を措置しております。
 また、社会経済活動の再開により求人ニーズが高まっている飲食、宿泊、サービスの業種や介護、建設、運転、保安の人材不足業種及びIT関連職種に重点を置いた就職面談会の開催に要する経費を措置しております。
 生活困窮者対策では、失業等により収入が減少し生活に困っている方を支援するため、その一時的な生計を維持する生活福祉資金の原資を増額するための経費を措置しております。

 次に、地域経済の活性化と成長・発展であります。
 第1は、「次代を担う『人財』の育成」であります。
 九州経済連合会、九州大学、デロイトトーマツ、福岡県で構成される「九州DX推進コンソーシアム」において、新たに実践的なデジタル人材育成プログラムを構築し、企業内でDXを推進する「中核人材」とDXの導入を助言する「支援人材」を育成するための経費を措置しております。
 先端半導体等の成長産業を担う高度技術人材を育成するため、3次元実装技術等の講座拡充や、「システム開発技術カレッジ」の全講座オンライン配信に要する経費を計上しております。
 農業大学校に新たに農業DXに対応した研修用ハウスを整備し、ハウス内環境の遠隔監視システムなどを取り入れた実習を実施するための経費を措置しております。
 県立高等技術専門校における次世代自動車整備士や左官分野のドローン技術者の育成のため、新たに燃料電池自動車、電気自動車及びドローンの購入費を計上しております。
このほか、県立学校のICT環境を整備するため、学習用インターネット回線の増設に要する経費を計上しております。

 第2は、「本県経済を支える中小企業の支援」であります。
中小企業におけるDXを推進するため、「福岡県中小企業生産性向上支援センター」の支援を受け、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組む中小企業の設備導入に対する助成費を新たに計上しております。
社会のニーズを捉えた中小企業の新技術・新製品開発を支援するため、工業技術センターに食品成分マルチ分析システムなどの機器を新たに導入するための経費を措置しております。
 また、経営革新計画の策定や、新商品・新サービス開発など、中小企業の新たな取組の支援に必要な経費を措置しております。
 このほか、年度末の地域における個人消費を喚起し、商店街をはじめとした地域経済を下支えするため、商工会議所・商工会等が行うプレミアム付き地域商品券の発行に対する助成費を増額しております。

 第3は、「稼げる農林水産業の振興」であります。
 デジタルデータを活用し、生産性を向上させる農業DXに取り組む農業者に対し、ロボットコンバイン、総合環境制御システム、牛個体管理システムなどのスマート農業機械の購入に対する助成費を措置しております。
 省力化や生産拡大を図るための高性能農業機械や低コスト耐候性ハウスの導入、もみ殻を利用したバイオマスプラントの整備に対する助成費を計上しております。
 また、林業では、運搬用ドローンなどのスマート林業機械の購入や木材加工施設の整備に対する助成費を計上しております。
 コロナ禍で出荷量が減少している県産酒の輸出を拡大するため、日本酒の消費が増加している中国において、国際間ネット通販サイトに県産酒を出品するとともに、主要八都市での高級中華レストラン向け商談会の開催や海外展示会への出展など、中国市場の開拓に要する経費を新たに計上しております。
 また、意欲ある県内酒蔵の輸出を支援するため、輸出商社との商談会や個別相談会の実施に要する経費を新たに措置しております。
 県産の水産物や酒の消費拡大のため、県民や県外からの旅行者が、「ふくおかの地魚応援の店」や「福岡の地酒・焼酎応援の店」を簡便に利用できるよう、現在地からの店舗検索や割引クーポンの取得ができる「福岡の食と酒アプリ(仮称)」の開発に要する経費を計上しております。
 また、「ふくおかの地魚応援の店」が参加し、旬の魚料理を提供する「ふくおかの魚フェア」の開催に要する経費を措置しております。
さらに、「福岡有明のり」の外食産業との取引拡大を図るため、首都圏の高価格帯の飲食店を対象としたフェアの開催や、糸島カキの販売拡大のためのカキ小屋整備に対する支援に要する経費を新たに計上しております。
 このほか、農林業総合試験場における果樹の新品種開発を加速させるため、研究施設の整備に要する経費を措置しております。

 第4は、「処遇改善・働き方改革」であります。
 地域の救急医療を担う医療機関に勤務する看護職員や介護・障がい福祉サービス事業所等の職員の処遇改善に必要な経費を計上しております。
 また、県庁のデジタル化を推進するため、行政手続のオンライン化を拡大するとともに、紙資料の削減による業務負担軽減と費用の縮減を図るぺーパーレス会議システムや職員が時間や場所にとらわれず研修を受講できるリモートラーニングシステムを新たに導入することとし、これらに要する経費を計上しております。

 最後に、安全・安心の確保であります。
 災害復旧の効果を高め、災害の再発を防止するため、災害復旧とあわせて行う河川の改良工事や、土石流が発生した箇所への砂防ダム等の設置に要する経費を措置しております。
また、緊急輸送道路や河川の護岸の整備、港湾の老朽化対策のほか、ため池等の安全対策のための経費を計上しております。
 このほか、通学路の安全を確保するため、通学路のカラー舗装や歩道・ガードレールの整備、可搬式速度違反自動取締装置の追加配備などの緊急安全対策に要する経費を新たに措置しております。

以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。